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第574話(sideタロー)
「まおちゃん、私くるのわかってたの? すごいねぇ〜っ」
「あぁ、それはカラクリがあるんだぜ」
「からくり?」
そう言うと天井にぶら下がっていたコウモリさんが、パタパタと飛んでまおちゃんの腕にとまった。
『オレ。ゴソクジョサマ、マリョクナイ。オレ、マリョクアル。マオウサマ、サッチシタ。ワカル? マオウサマ、ヨル、ニオイミツケル。ワカル?』
「おぉっ、わかる! ありがとうなんだよっ、ぜおさまのこうもりさんもすごいね〜っ」
『スゴイネ? ソウカナ』
「あぁ、本体に伝えろ。特別手当級だぜ? 喜べ」
『アイサ。トクベツテアテ、イイネ。ダカラマオウサマノブカ、オレ、オキニ』
カタコトのコウモリさんのおかげと知って私はとっても感謝した。
コウモリさんに感謝しているまおちゃんも、とくべつてあてをあげるって言っている。
コウモリさんは喜んで、表情は無だけど、フンフンと陽気に揺れていた。
かわいいねぇ。へへへ。
話し方がゼオ様と違うから、コウモリさんはなんだか違う人みたい。
そうしてお話してから、まおちゃんは私から離れて、ピコピコと指を立てた。
「いいか? タロー。俺はこれからシャルのところへ行って、シャル成分の補給、じゃない。俺が今どういう立場なのか、説明してくるぜ」
「あぅぅ……しゃるとこ、私いけない?」
「………………もちっと待っててやがれ」
私がしゅんとすると、まおちゃんは黒いオーラを出しながらボソリと呟く。
ええとね、これはたぶんね、もう面倒だから今すぐドーンしようかなって思ってて、でもやめたんだと思う。
シャルに誰かが触ったりした時にこんな顔して我慢してるよ!
うーん、だけどどこにドーンするのかな?
鳥かごでお留守番を言いつけられた私に、まおちゃんは「人形に不可視の魔法陣を貼っておいたから、持ってろ」と言った。
まおちゃんは魔法陣をたくさん重ねて作ったので、きっと探知機にもわからないと言う。
私は嬉しくてしっかり頷いた。
絶対に迎えに来てくれるから、待つのは頑張れるよ。私、今度は頑張る。
「精霊族はお前の仲間で、ここは故郷だから、鏖殺はなし。未来のジズをなくすためにも元凶をどうにかするから、時間がかかる」
「げんきょ……」
「グルルル……。ギリまで待って、一気にドーンッ! だ!」
「どーんっ」
まおちゃんがカッと目を開いて言い聞かせるから、私も真似して目を開き、もう一回頷いた。
「セファーは十分の九殺しにする。ジファーはどうせライゼンが情報収集と捕虜を兼ねてドーンしてるから、オーケーだぜ。一網打尽にするために、時間をかける。慎重にな?」
「そっと?」
「そっとだぜ。そんで最後はタローもシャルもリューオも部下も、みんなで帰ってただいまだ。ふふん、いい計画だろ?」
「うん! すてき、かっこいいぷらん〜っ!」
パチパチと拍手をすると、まおちゃんは鼻高々と胸を張り、悪い顔でニヤッと笑う。
私のパパ、とってもかっこいいでしょ?
私大好きなんだよ! うへへ、もっとみんなに自慢したいな!
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