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25:そして朝
チチチっという鳥のさえずりが聞こえる。イリがゆっくりと目を覚ませば、既に目を覚ましていたターリャがこちらを見ていた。
いつも一緒にこんな風に眠っていたが、今日は違う。初めて身体を繋げたのだ。
「おはよう、イリ。身体は痛くないか?」
「ん…。だいじょうぶ、です」
「そうか」
初めての夜だというのに、イリの声が出たことと発情期のフェロモンで理性が飛んでいた。激しくしてしまったと終わった後に後悔していたが、どうやら大丈夫のようだ。
イリ自身、昨日のことは全然辛くもなかった。発情期の熱に助けられていた部分もあるが。それ以上に、ターリャと番になり繋がれたことが嬉しかった。
「―――ターリャ」
「何だ?」
「昨日のことは、夢ではないよね」
身体の気怠さとか、自分の耳に届く自分の声から夢ではないことははっきりとしているが。どうしても確信が持てなかった。
もしかしたら、感覚ですら鮮明に感じてしまう夢なのかもしれないと。
そう思ったイリの瞳に涙が溜まる。夢にしろ夢ではないにしろ、こんな幸せな時に悲しみの涙など必要ない。
涙が零れないようにギュッと瞳を閉じれば、何も言わずにターリャが優しく抱きしめてくれた。
「ここに。お前が、俺のものだという証がある」
ターリャの指が、そっとイリの項を撫でる。昨日、イリをトロトロに感じさせてくれた指だ。そのせいで昨日の感覚を思い出し、イリはビクリと身体を跳ねさせた。
「触ってみるか?」
「ん、いぃ」
「いいのか」
昨日のことを思い出したのを知られたくなくて、イリはターリャの胸元に顔を埋めた。
やっと、昨日のことが夢ではないと実感できた気がする。
「イリ。俺の、愛しのイリ」
「ターリャ、」
「キスをしよう。これから毎朝、キスがしたい。お前を1番に感じたい」
優しい手つきで項を撫でられて、イリはそろそろと顔をあげた。すると、ターリャがこれでもかというほど優しい笑みを浮かべてイリを見ていた。
なんだか、ターリャのその笑みを見ていると、自分が恥ずかしがっているのがバカらしくなってきて。
「―――――ん。キス、しよう」
ターリャと同じ笑みを浮かべて、自分からキスをした。
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