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番外編:シャールの想い
「本当に可愛いな、ライタは」
自分のベッドで疲れたようにスヤスヤと眠るライタを起こさないように、シャールは頭を撫でる。眠りながらも、シャールのぬくもりを探して身をよじるライタがいじらしく可愛く見える。
あぁ。これが惚れた弱みと言うやつかと、シャールは1人思っていた。
ずっと独り身でいると思っていた。世継ぎのことなどは、兄であるターリャにすべて任せるつもりだった。
だからこそ、ターリャが番候補としてイリを連れてきた時も、シャール自身そこまで興味もなかったのだが。その後に、おどおどとしながらついてきていたライタの姿を見て気が変わった。
匂いからしてβだとすぐ分かったのに、どうしても心惹かれた。あれの笑った顔が見たいとも思うし、同時に泣く姿も見たいとも思った。
自分の中に汚い感情が生まれるのを、シャールは感じていた。でも、もう止めることはできない。
怯えるライタを、少しずつ少しずつ自分の方に向くようにした。
そして昨日、やっと手に入れた。
「昨日は、随分と無理をさせてしまったな」
やっと、ライタを手に入れたのだ。元々我慢強くないシャールが、優しく抱くことなどできなくて。何度も何度も、ライタを激しく求め、そして抱いた。
悪いなと、疲れたように眠るライタの姿を見て思うが、後悔はしていない。
「んぅ、」
「起きたか、ライタ」
「しゃ、る様、」
起こさないように撫でていたつもりだが、ライタが目を覚ました。シャールが額にキスをすれば、照れたように頬をほんのり赤く染めた。
ライタのその姿に、ガッとシャールの中に熱が集まるが、朝からサカるのを必死で理性で止めた。
「昨日は無理をさせてしまったな」
「い、え。シャール様とつながれて、うれしかった、です」
「っ!!…………ライタ。お前、」
「へ?」
せっかくライタに無理をさせたくなくて、必死にシャールが抑えていたというのに。ライタは、簡単にシャールを狂わせてしまう。
朝起きたばかりで殆ど状況の分かっていないライタを、シャールは昨日のようにベッドに押し倒した。
「朝からサカらねーように、必死で抑えてたっていうのによ、」
「んっ!」
息を荒くするシャールが、ベロりとライタの首筋を舐める。
「もう、止めらんねーから」
朝だからとか、そんなことどうでもいい。
愛し合っている2人が、互いの身体を求めるのは当たり前。
「ライタ。お前はもう、俺のものだ」
「しゃーるさまも、僕のもの、です」
「だから、煽んな」
この可愛い生き物、本当にどうしてやろうか。
そんなことを思いながら、シャールはライタの唇を塞いだ。
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