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番外編:ライタの幸せ②
「しゃ、シャール様!」
「ったく。何泣いてんだよ」
片腕でライタを抱くと、もう片方の手でシャールは涙を拭った。急な出来事に、ライタはただ驚くしかない。そして、その様子を見ていたヒトラは呆れたようにため息を吐いた。
「ったく。もう終わったのですか?」
「あぁ。全部終わらせてきた」
「それはようございました」
ヒトラの嫌味に聞こえる言葉に、シャールは怒ることもせず笑い飛ばした。ケタケタと笑うシャールを、ライタはポカンとした表情で見つめる。
「じゃあ、こいつは預かっていくぞ」
「かしこまりました」
「それから、もう呼び捨てにすんじゃねーぞ」
「分かっていますよ、シャール様」
シャールとヒトラの会話の意味も分からないまま、ライタは目の前の身体にしがみつくしかなかった。
そしてシャールはヒトラとの会話を終わらせると、当たり前のようにライタを抱いたまま歩き始める。
どこへ向かうかと思えば、シャールの部屋だった。
「シャール様。なんでシャール様の部屋に、」
「なんでって、プロポーズするために決まってんだろうが」
「は?」
驚くライタにシャールは1つキスを頭に贈ると、ゆっくりとした動作でベッドに座らせた。
ベッドに座ったライタは、ただ固まっていた。それもそのはず。プロポーズをするために部屋に入ったと聞かされ、そして頭にキスまでされたのだ。
好きな人から急にキス(頭にだが)をされて、固まらないわけがない。
「何を驚いているんだ?ライタ」
「ひぇ!?え、だ、あの、」
「まぁ、あれだ。お前の俺に対する想いは気づいてたし、俺も同じ気持ちだった」
「へ?」
シャールの言葉に、ライタは耳を疑った。何せ、ライタの想いに気づいていたとシャールは言ったのだ。
絶対にバレていないと思っていたのに。しかし、ライタの想いは分かりやすかったらしい。
それもそのはず。シャールに教える草花の殆どは、花言葉に“愛”が入っていたのだ。それに、シャールが気づかないわけがない。
「気づいてたけどな、色々周りがめんどくせぇからな。遅くなった。ごめんな、ライタ」
シャールが、ベッドに座るライタの前に跪く。
「俺はバースとか関係なしに一生を共に過ごすならお前がいい。お前以外はどうでもいい」
「でも僕は、Ωじゃないし。シャール様の子供、」
「子供はいらねぇ。王になるわけでもないし。それに、もしライタがΩでも子供はなしだ。子供と、ライタを取り合いたくないからな」
「しゃーるさま、」
「ライタは?まぁ、はい以外の返事は受け付けてねーからな」
ライタの手を取ったシャールが、そっと手の甲にキスを落とす。
「で?ライタの答えは?」
「っ、はい、。ずっと、シャール様と一緒に、いますっ」
ライタは泣きながらそう言うと、勢いよくシャールの胸に飛び込んだ。
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