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第1話
「っ、ぁあっ! 痛 、やめて……! やめてください……!!」
必死に叫んでも、小生の声は聞こえません。
誰も、小生の声を、思いを聞いてくれません。
小生は泣きながら、お願いします。
「これ以上……、無理っ、あぁ」
痛い。
小生のお尻に、次から次へと汚い男の棒が出入りする。
その棒からは、男の欲塗れの真っ白な液体が出る。
その液体は、小生のお尻の中に入ったり、小生の身体に掛けられたりする。
真っ白だけど、純白ではない。
とても汚い白。
その色に染められる。
それが、小生にとって途轍もなく耐えられなかった。
誰か助けて。
狭い路地。
少し先の大通りには、たくさんの人が通る。
人の目が、小生の目には入る。
だけど。
人の目には、小生の目は入らない。
「ぅっ、ぐ、助け……て…………」
泣きながら言うと、一人の男が小生に言う。
「獣人のオメガを助ける奴なんていねえよ」
「っ」
「ハハハッ! 良い顔をしてるぜ、じゅーじん」
おらっ! と、男は小生のお尻を突き上げる。
たくさん汚い欲液が注がれ、小生は泣き叫んだ。
それは、痛かったからではない。
怖かったからだ。
子供ができてしまうことが。
「ゃ……っ、ぃやぁあああぁ!!」
小生が叫ぶと、大通りの方から、赤いパーカーのフードを深く被った男が小生と小生を汚 す男たちのところに来た。
あぁ、きっとこの男にも小生は汚される。
そう思っていると、その男は小生を汚す男たちに「何しているんだよ」と言う。
怒ったように、だ。
「相手は人だろ? それを集団でリンチなんて、人として如何なものか!」
その男はそう言うと、小生を汚す男たちを殴り倒していった。
全員殴り倒すと、小生のところに来て、小生に手を差し出す。
「大丈夫かい? と言っても、大丈夫ではないだろう」
待ってろ、と男は自分が着ていたパーカーを脱ぎ、小生にそれを着せる。
男の顔を見ようとすると、フードを深く被させられる。
「これで少しは顔や身体は隠れるだろう」
「あ……、ありが、と……、ございます!」
「どういたしまして」
それでは、と立ち去ろうとする男を、小生は止める。
「あの、お礼をしたいので、お名前を……!」
「当然のことをしただけさ。礼なんてものは、要らないよ」
「しかし――!」
「またどこかで会った時、パーカーを返してくれる、というので良いよ」
会わないと思うけど、と男は言ってどこかへ行った。
⊿
男が行った後、小生はフードを深く被ったまま、家に向かって歩いた。
男の貸してくれたパーカーからは、特別な香りが二種類もした。
一つは、アルファ性の香り。
小生のようなオメガ性だけではなく、ベータ性も魅了してしまう香り。
もう一つは、人間の血の香りだった。
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