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始まりの話
【将也視点】
俺史上、こんなにマメだったことはない。
あれから2〜3日に一度、いつか にメールを送るようになった。
週末はたまに、二人で会う。
就職したばかりの いつか にとっても、俺は良い相談相手となっているようだった。
そして、たまに仕掛ける。
いつか に好意を寄せていることを含む物言いや、態度を取る。
俺は俺自身のために、「幸宏は いつか の幸せを願っている」のだと、事あるごとに言ってやる。
そんな関係を一年続けた。
これまで俺から発信していたお誘いメールは、最近では いつか からも積極的に送られてくるようになっていた。
ある週末、仕事終わりに待ち合わせをし、居酒屋で食事を摂ったあと、BARに場所を移す。
しばらくして時計の針を見ると、あと5分で終電の時間だった。
気づかないふりをした。
ここから俺の家は徒歩圏内。いつか はタクシーで帰ることも出来るが、きっと、それはしないだろう。
それに何より俺が、そうはさせない。
今夜はストレートに想いを伝えた。
____________完____________
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