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卵
「だ、大丈夫ですか…?」
崩れ落ちた黒髪の悪魔さんが心配で、近づいて手を伸ばした。
「ひっ!?」
急に、その腕を掴まれて跳び上がりそうな程に驚いた。
「構わない…」
黒髪の悪魔さんが唸る様に呟く。
「え…?」
よく聞き取れなくて、恐る恐る聞き返した。
「男でも構わない!」
あまりにも強い視線に射貫かれて、息を呑む。
「俺はもうルノアを第一夫人にすると決めたんだ!」
「お、お前…」
二人の悪魔さんが、複雑な表情で黒髪の悪魔さんを見つめる。
「そういえば、天使の中には卵にお互いの霊気を送って、自分達の魂を引き継いだ子供を残す方法があると聞く。一緒に卵を還して、立派な悪魔を育てよう!」
「ふえぇ!?」
まだ、見習いの身分なのに、子供!?
そ、それに、さっき会ったばかりなのに、どんどん話が進んでいく…!
ちゃんとお断りしなければ、このままお嫁さんにされてしまうかもしれないと、慌てて首を振った。
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