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最後の審判

ベリアル様は静かに目を閉じて、ゆっくりと息を吸った。 そして、目を開けて困った様に笑った。 「…………私の、負けなのでしょうね…」 「ベリアル様…?」 「私も、貴方の事を愛していますよ…」 「ぇ…?」 一瞬、時が止まった気がした。 ベリアル様の言葉の意味が、すぐには分からなくて。 ゆっくりと頭の中で反芻する。 「貴方の様な、いかにもな天使を愛してしまうなど…」 「ぁ…、ぁ………」 ベリアル様の言葉が信じられなくて、涙が溢れてきては止まらない。 「何故泣く…?虐めたりしていないでしょう?」 「わ、私…、私、嬉しくて…、これは、夢でしょうか?」 「夢かどうか、痛みを与えてあげましょうか?」 本気とも冗談ともつかないベリアル様の言葉に、痛いのは嫌だと慌てて首を振る。 「ベリアル様に、そう言って頂けるなんて…、もう…、この身が朽ちても構わない位、嬉しいです…!」 「私の心を奪いながら、朽ちる事等許さない。その身は最早自分のものではないと思いなさい」 「はい…!はい…、ベリアル様!」 「私がもし貴方に惚れる様な事があれば、ミカエルの元へ帰してやるといいましたが…」 「え…」 「あれは取り下げだ」 ベリアル様のお顔が近づいてきて、唇が重なる。 それは、今までのどの口吻よりも、優しいものだった。 「貴方を、愛しています」 「っ…、ああ、ありがとうございます!神様、ありがとうございます…!」 手を合わせて泣き崩れそうになる私の身体を、ベリアル様が抱き留める。 「私の前で神の名を口にするなど許しませんよ」 「も、申し訳ございません…!でも、ベリアル様と、ずっとずっと一緒にいたいと、それを神様が叶えて下さったから…」 ずっと、願っていた。 叶うなら、ベリアル様の御側にずっといたいと。 それを伝えれば、ベリアル様は面白くなさそうなお顔をする。 「ふん、いいですか?貴方と永遠の時を過ごすと決めたのは、神ではなく、この私です。覚えておきなさい。貴方を幸せにするのは、私なのだと」 「はい!ベリアル様…。私、幸せです…!」 そして、鳥籠の中の小鳥は、つがいの鳥に抱き締められ、幸せそうに微笑んだ。 end…?

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