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交わる
私は、ベリアル様が歩き出したのを呆然と見つめていた。
立ち尽くしている私に、ベリアル様は足を止めて振り返る。
「ルノア…、何をぼーっとしているのです」
「え…?」
「早くしなさい。私は待たされるのは嫌いだ」
そう言われて、やっとベリアル様の言葉の意味を理解した。
「わ、私…、ベリアル様のお城に帰っても良いんですか…!?」
「…………早く、来なさい」
「べ、ベリアル様っ!!」
私は、嬉しくて夢中でベリアル様に抱きついた。
「ベリアル様…!愛しています…!愛しています…!」
怒られてしまうかもしれないとか、また呆れられてしまうかもしれないとか、そんな事は、もう関係なかった。
うまく、言葉にできない代わりに、それだけを伝えたくて、何度も溢れる気持ちを口にする。
ベリアル様は、また溜め息を吐いて、私の肩をそっと掴み、引き離した。
それに、急に不安になって、ベリアル様を見上げた。
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