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その後の二人

あれから東堂は、俺の前に一切姿を現さなくなってしまった。 アルベルトが怖いからか、それとも本当に諦めたのか、もしくはあの獣人がアイツに想いを伝えて成功したのか……それは結局分からないままだが。俺もあれから、あの日の出来事を思い出さなくなっていた。 このまま東堂も、俺との過去に縛られず。これからの事を後悔しないように生きていってほしいが……。 「気になるし……もう一回会ってみるか?」 「やっぱり君は優しいね。ルウ」 「あぁ?なんだよ。お前は俺が何考えてたのか分かるっていうのか?」 「あぁ勿論。だって僕は君の番なんだから」 「番になっただけで心が読めるみたいな能力が備わったら超怖えぇよ」 「あはは!でも、君の考えていることが分からなくても。君が優しいってことくらいは分かるよ」 アルベルトの手が俺の頭を優しく撫でる。 全く。 優しいのはどっちなんだか……。 それにしても。この触り方はなんだかむず痒いというか……。気持ち良いけど、そこだけじゃなくてもっと他の場所も撫でてほしいというか……。 なんか、凄くたまらなくなってーー。 「……キュウゥ~~」 「!?」 あ、やべぇ。つい声が。 「なにそれ超絶可愛いよルウ。ねぇ今の鳴き声はどういう意味なのかな?詳しく教えて欲しいのだけど?」 「うっ……うるせぇ!!今のは欠伸だ!!」 「嘘は駄目だよ。罰として、今日は一日僕に付き合ってね?」 「うっ……」 でも最近は、優しいだけじゃなくなってきたような……前にも増して性欲だけが強くなってしまっているような……そんな気がした俺は、なるべく薬は飲むようにしようと心がけるのであった。

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