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先輩と後輩〈side黒澤〉
「俺を先輩の舎弟にしてください!!」
「は???」
昼下がりの校舎の屋上。雲ひとつない晴天。降り注ぐ陽射しは春のそれだが、吹き付ける風はまだまだ冷たい。
屋上のフェンスを背にあぐらをかいて座るその人は、左手に1リットルの牛乳パックを、右手におにぎりを持って呆気にとられた顔でこちらを凝視している。
彼の脇に置いてあるビニール袋にはもうすでに完食したのであろう、パンやらおにぎりやらの空袋がいくつも入っていた。
おにぎりと牛乳という食べ合わせの悪さもさることながら、一体この小さな身体のどこにそんな量の食べ物が入るんだろうか?
「わりぃ。よく聞こえなかったんだけど。」
つり目がちな大きな目をますます大きくして聞き返す姿はリスとかハムスターといった小動物のようだ。
この人が本当に“三中の紅い悪魔”と呼ばれていた人物なのかと疑いたくなるほどに「可愛い」という形容詞がよく似合う。
「俺を先輩の舎弟にしてください!!」
「は???」
最初と全く同じトーンで返された。
デジャヴ。
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