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先輩と後輩〈side緋山〉

「俺を先輩の舎弟にしてください!!」 「は???」 手に持っていた牛乳とおにぎりを危うく落としかけた。 デジャヴだ。 この目を知ってる。なんだっけ? 俺は目の前に正座している そいつを見ながら必死に記憶の糸を辿った。 ああ。そっか。思い出した。 近所に住んでる甥っ子の優太(4才)が大好きな戦隊モノのなんとかジャーとかの話を俺に熱弁してくる時のそれと同じだった。 「あーくん!あーくん!あのね!レッドの剣がねえー!この、、ぱわーこいん、、を入れるとね!ここのとこから、、えねるぎーは、、がビューンってなってねー!!ばーーん!!ってわるいやつをやっつけるんだよー!」 赤やら青やら黄色やら、なにかと原色系で配色されたおもちゃを引っ張り出してきて、 拙い言葉で一生懸命に俺に説明しようとする姿は無邪気で、本当に可愛らしい。 そういやもうすぐ優太の誕生日だな。今年はプレゼントは何にしよう。やっぱ戦隊モノのおもちゃかな。そろそろ今欲しがってる物と、もう既に持ってる物をリサーチしとかねぇとなぁ。 いやいや。そうじゃなくて! コイツだよ。 座っていても分かるガタイの良い身体。 おそらく180cmはゆうに超えているだろう。 制服の上からでもしっかり筋肉が付いているのがみてとれる。 着崩した制服。耳に開いたピアス。 そしてこの、、近年稀に見る、眩しいほどのド金髪。 この、「可愛い」とは対極にある、絵に描いたようなヤンキーは、今にも「キラキラキラッ」と効果音が聞こえてきそうな熱視線でこちらを見つめてくる。 優太にならまだしも、自分よりふた回り以上もデカい男にそんな目で見つめられても、ぜんっぜん嬉しくない! 「わりぃ。よく聞こえなかったんだけど。」 聞き違いであってくれという願いも込めて聞き返す。 「俺を先輩の舎弟にしてください!!」 キラキラキラキラー。 さっきと一言一句違わず、まったく同じトーンで返された。 デジャヴだ。 どうやら聞き間違いではないらしい。

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