2 / 2
先輩と後輩〈side緋山〉
「俺を先輩の舎弟にしてください!!」
「は???」
手に持っていた牛乳とおにぎりを危うく落としかけた。
デジャヴだ。
この目を知ってる。なんだっけ?
俺は目の前に正座している そいつを見ながら必死に記憶の糸を辿った。
ああ。そっか。思い出した。
近所に住んでる甥っ子の優太(4才)が大好きな戦隊モノのなんとかジャーとかの話を俺に熱弁してくる時のそれと同じだった。
「あーくん!あーくん!あのね!レッドの剣がねえー!この、、ぱわーこいん、、を入れるとね!ここのとこから、、えねるぎーは、、がビューンってなってねー!!ばーーん!!ってわるいやつをやっつけるんだよー!」
赤やら青やら黄色やら、なにかと原色系で配色されたおもちゃを引っ張り出してきて、 拙い言葉で一生懸命に俺に説明しようとする姿は無邪気で、本当に可愛らしい。
そういやもうすぐ優太の誕生日だな。今年はプレゼントは何にしよう。やっぱ戦隊モノのおもちゃかな。そろそろ今欲しがってる物と、もう既に持ってる物をリサーチしとかねぇとなぁ。
いやいや。そうじゃなくて!
コイツだよ。
座っていても分かるガタイの良い身体。
おそらく180cmはゆうに超えているだろう。
制服の上からでもしっかり筋肉が付いているのがみてとれる。
着崩した制服。耳に開いたピアス。
そしてこの、、近年稀に見る、眩しいほどのド金髪。
この、「可愛い」とは対極にある、絵に描いたようなヤンキーは、今にも「キラキラキラッ」と効果音が聞こえてきそうな熱視線でこちらを見つめてくる。
優太にならまだしも、自分よりふた回り以上もデカい男にそんな目で見つめられても、ぜんっぜん嬉しくない!
「わりぃ。よく聞こえなかったんだけど。」
聞き違いであってくれという願いも込めて聞き返す。
「俺を先輩の舎弟にしてください!!」
キラキラキラキラー。
さっきと一言一句違わず、まったく同じトーンで返された。
デジャヴだ。
どうやら聞き間違いではないらしい。
ともだちにシェアしよう!