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第1話

 キレイなブロンドの髪を揺らし、青い瞳は前を見すえていた。  その美しい少年は好奇心が旺盛なのだ。  危険なので近づいてはいけないと言われる場所へもよく踏み入り、怒られる。  しかし、本人は全くといって懲りる事はなく、危険な事もそれなりに回避できる能力を若干5歳にして身につけていた。  最近は、そこに毎日通う理由があるのである。 「やぁ! ユキ、今日もかわいいね」  狭い洞穴に隠れる様にしていたその子を見つけたのは、もう三日程前である。  綺麗な白色の毛に、黒い斑点、瞳は自分と同じ青色だが少し違う。自分はよくアクアマリンと言われるが、この子の瞳はもっと深い。サファイアの様である。ずっと見てられると思った。  ユキを見つけた時は、酷く弱っており、怪我もしていた為、直ぐに家に連れて帰って手当をしてやりたかったのだが、手を伸ばすと酷く怯え、威嚇もした為に諦める他無かった。  毛布を与え、こうして毎日食料を運んで様子を伺っている。  初めて見つけた時よりは、だいぶ元気になった様には見えるが…… 心配だ。  ちゃんとした医師に見せて治療した方が良いと思うのだけど、ユキはなかなか懐いてくれない。 「ユキ、美味し? ユキは、お肉が好きなのかなぁ。でも野菜もちゃんと食べてね」  フフっと微笑みながらユキを眺め、少し撫でてみようと手を出す。いつもなら怯えて狭い穴の中に潜ろうとするので直ぐにやめるのだが、今日は自分から頬を擦り寄せて来てくれた。 「え!?」  思わずユキに触れられた事に感動する。  もしかして、このまま持って帰れるかな? と、思ったが、また直ぐに穴の中に潜ってしまったので、まだ駄目な様である。  残念。 「ユキ、また明日も来るね」  そう声をかけて、今日も後ろ髪を引かれる思いで家路につくのであった。  少年の名前は青。瞳の色が綺麗だった為、そう付けたと教えられている。  この国の王子だ。 「ただいま!」 「また! 目を離すと直ぐに何処かに行ってしまう。全く誰に似たんだか」 「どう考えても黒でしょ」 「いや、どう考えても白だ!」  そう仲の良い両親が犬も食わないやつを始めたので、青はこれ幸いとソッと自室に逃げ込むのである。  パパは王で人間だが、ママは半獣である。昔はもっと獣の様であったとアルバム等を見ると思うのだが、いつの間にか大部人間の様になっている。不思議だ。  パパもママも雄だが、ママがΩなので自分が生まれたらしい。それも不思議だ。  だってママの方がどちらかと言えばカッコいいし男前だし、パパの方がどちらかと言えば中性的で、国民からも「お妃様」と呼ばれているので、恐らく国民も勘違いしている様である。そう呼ばれるとパパはいつも怒るけど……  午後のお勉強の時間まで少し眠ろうかなと思う青はウトウトと瞳を閉じるであった。   

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