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第2話

 夜だと言うのに外は明るく光、近くで多い音が聞こえる。そして冷たい雨は風で横殴っていた。  嵐である。  気候も穏やかなこの国で、嵐になるのは珍しい事であった。   天気予報でもそんな話はしていなかったので、不足の事態である。 「ユキが!」  青はユキが心配で真夜中にも関わらず、外に飛び出してしまった。   その事に気づいたのは黒である。内側から何かがシールドを抜けた気配に目を覚ました。   和平を結んでいる為に知能の高い魔物は襲って来ない筈ではあるが、万が一に備え、国と城の敷地と分けて二重にシールドを張っているのだ。 「どうしたの?」  急に飛び起きた黒に、一緒に眠ってた白も目を覚ます。 「何かがシールドを抜けた。内側からだ。まさか……」 「青!?」  ハッとし、二人はベットから抜け出し、青の部屋に足を走らせるのであった。 「っ……」  青は気付くと知らない場所であった。  ユキが居るのは足場の悪い断崖の様な場所であり、青は向かう途中でウッカリ足を滑らせてしまったのだ。  大部滑り落ちてしまった。  幸い地面は柔らかく、大きな怪我は免れたが、登れそうにない。  すぐ下はもう沢である。  水かさが増え、いつここまで上がってくるかも解らず、青は八方塞がりになってしまっていた。 「ユキ……」  こんな状況でも青は自分の事よりユキが心配である。   雨はより激しさを増している。雷も近い。  ユキは怖がりだ。きっと震えている。早く行って安心させてあげたいのに……  僕は何をやっているんだろう。 「ユキ…ユキ…」  青はグズグズと泣き出してしまう。  その時であった。 「青!!」  そう自分の名前を呼ぶ声。 「ママ?」  あれはママの声だ。 「ママーー!!!」  青は力の限り叫んだ。 「青! 良かった。本当に居た!」  崖の下の青を見つけ、直ぐに飛び降りて駆けつける黒。 「全くお前は心配をかける」  黒は青を強く抱きしめた。 「黒〜〜大丈夫!?」 「ああ! 安心しろ。無事だ。青、怪我は無いか?」  崖の上にパパも居るらしい。 「僕は大丈夫。でもユキが……」 「ユキ? もしやあの子の事かな?」 「あの子?」 「お前を探していたらユキヒョウが飛んで来ていな。白の靴を必死に噛むものだから着いて来てみたんだよ。そしたらお前を見つけたんだ」 「ユキヒョウ?」 「解らないでユキって名前を付けたのか」  ハハッと笑う黒。 「多分間違いない。白い毛に黒い斑点が有るだろ?」 「うん! その子だ!」  良かった。ユキ、無事だったんだ。  青は安心すると、スーッと意識を手放してしまうのだった。

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