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第15話

「やれやれ、疲れた」  黒はホッと溜息を作く。  ラオンは自分たちの付き人として側に仕えてくれている。そのラオンは息子を溺愛しており会う度にペロペロと息子を舐め回し可愛がっているので、イオからは嫌がられている様であった。  そのイオは考えた末に青の婚活パーティを開く旨をその前日に伝えて来ていた。  その時もラオンはイオを舐め繰り回していた。  そして今朝である。  ラオンが息子が何か助けを求めていると黒に助けを求めたのだ。  黒とラオンは飛行機と言う名の瞬間移動装置で城まで飛びイオのいる場所を探って足を走らせた。  中庭を抜け、辿り着いたのは資材倉庫である。ここにはユキが…… と思いつつ、中に入れば、ドアはボロボロに吹き飛ばされ、その向こうでは発情するΩに跨がるαと、そのαを引き止めようと泣きながら腰を掴むαの三つ巴が繰り広げられていた。  黒は直ぐ様青とユキを引き離す。青はユキの発情に当てられている様で、全く自分達が見えずバタバタと暴れる。黒は仕方なく青の頬を殴った。  強い衝撃にハッとした様子の青は一瞬正気に戻り「母上?」と黒を見つめて首を傾げた。 「黒様、王にコレを!」  青は咄嗟に黒に水筒と薬を渡し、自分はユキの抑制薬を引き出しから出して与えた。ユキはいつも同じ所に薬をしまっているので直ぐに解るのだ。  薬を飲ますと二人ともそのまま眠ってしまったので、黒とイオはようやく安堵する。  ラオンはずっと役立たずでウロウロするばかりであった。  イオはユキをそのままベッドに寝かせ取り敢えず青を城に送る。  青の事は黒に任せ、イオはユキに付きそった。  役立たずのラオンには取り敢えず昼食用の野菜の収穫を頼んでおくのだった。  その後直ぐに目を覚したユキに、イオは本当に王が嫌いかを問い詰めるのだった。 「皆の者! 王が結婚相手を決めた! よく聞け!」  パーティはフィナーレを迎え、いよいよ結婚相手の発表である。イオが高らかに声を上げて注目を集める。  バルコーニに姿を表したのは仲良く手を繋ぐ青とユキ。  花嫁候補も国民も全員拍手を送り、二人をお祝いしていた。  黒と白も群衆に混じり、二人に拍手を送っている。  黒は一度自分の城に戻り白を連れてきたのだ。 「やっぱり青はユキを選んだな」  「そうだね。本当、遠回りしすぎだよ」 「本当にな」  そう二人は目を合わせて笑うのだった。 「ほら見て、皆祝福してくれているよ」  身分違いだとか、人間と獣だとかを気にしていたユキに話しかける青。  そもそも自分の父親と母親も人間と獣で有るし、うちの群衆は割と何でも受け入れてくれる朗らかさがある。  以前は違った様だが、父と母が変えたのだろう。 「本当に私で良いのでしょうか?」 「もー、お前が良いって言ってるだろ」  これはもう10回目ぐらいのやり取りである。  青はムッとしつつ、ユキに口付を贈るのであった。  群衆はより盛り上がり、ヒューヒュー等の口笛で囃し立てたくれたので、もっと熱いキスをぶちまかそうとしたが、ソレを察したイオが二人を引っ張り奥へと押し込む。 「二人の結婚式は〜〜」  と、結婚式の日取りを伝えて誤魔化すのであった。

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