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第4話
「ただいま・・・」
いつも通り、ガチャリと玄関のドアノブを回せば、相変わらず不用心に開けっ放しだ。
リビングのソファーにはお腹を空かせた大型犬・・・いや悠翔が仰向けに倒れていた。
「はらへった・・・」
そう呟いた気がした。
寝こけている悠翔にすす、と近寄ってしゃがんだ。
「人の気も知らないで・・・。」
無防備な寝姿に思わず。ふ、と笑みが零れる。
(なんだろうな、この守らなきゃって使命感みたいなのが湧いてくるのは)
おでこに軽く口づける。
(いつか俺が何もしなくなっても悠翔は寂しくないだろうか)
未桜は愛おしそうに頭を撫でると黒髪が夕陽に照らされると色素が薄くなったように茶色く照らされる。
邪魔そうにメガネをかけたままだったのでそっと外すと。んんと声が漏れた。
はっとして起こしていないだろうかと焦りつつ、メガネをテーブルに置く。
まだまだ子供なんだ、そう言い聞かせて夕飯の準備にとりかかる。
明日は休みなので、悠翔が嫌がらなければ荷物持ちとして一緒に食材を買いに行って、豚の角煮でも作りたいな。
味がしみしみの味玉を作りたいんだよな。
ささっとエプロンを着けると、慣れた手つきでトントントンと軽やかに玉ねぎを刻む。
ハンバーグでいいか。ん?レタスがやばいかもしれない。卵も消費しとかないと。あ、ロコモコ丼にしよう。
じゅう、とハンバーグが焼けていい匂いが充満したころ後ろで
「・・・みお」
と寝言がか細く聞こえた気がした。姉さんが出ていったから『さくら』って気安く呼ばないのかな。
(大丈夫だよ、俺は・・・多分離れていかない・・・よ。家族だろ。)
そう心の中で呟いた。
時々憎たらしいけど可愛い弟だと、思ってるよ。
他意はない!多分!
自問自答しているうちのロコモコ丼の盛り付けをしていると、いつの間にか悠翔が起きていて、ぼんやり見つめていた。
「うわぁ!びっくりした!起きてるなら声かけろって!」
ミニトマトを落としそうになって、とっと、とキャッチする。
「ごめん、なんかいい夢見た気がして」
「いい夢・・・?」
「美人にちゅーされる夢~」
「・・・・・そうか。」
未桜は耳まで真っ赤になりながら『よかったな』と振り向かないで盛り付けを続けた。
「俺も手伝う?」
「いや、出来上がったから座って待ってろ。」
今日の食卓は無言になるかもしれない。
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