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プライドは壊すためにある
…アオに気をつけろ、か。
……………いやいや、トーカが連れてきたんだろうが。気をつけろ、というより気にかけろっていうニュアンスだったか…?それは俺には推し量ることは出来ないが、あの鬼が自分の不利益になることはしないだろう。
どういうことかは全くわからないし、腑に落ちないがしつこく聞いたところで教えてはくれないだろう。
「第七師団三番隊、代表の方。挨拶お願いします」
いや、考えるのは後だ。
今は、この目先のことが優先。久しぶりに本格的なダガーの仕事た。気を締めなければならない。
俺が列から抜け、集団の前へ歩いて行くと、いつものように驚嘆と嘲笑の声。
アイツが、隊長?
チビじゃん
地味だな、
こんなのは慣れている。そう、俺は隊長だよ。
あぁ、三番隊のみんなが静かな闘志を燃やしてるのがわかる。そう思うと自然と口角があがった。
「ご紹介いただきました、第七師団三番隊隊長シキと申します。第三の方達とこうしてご一緒させていただけるというのは大変光栄でございます。私達は表舞台に立つのは初めてですが、皆様のお力になること、ここにお約束致します。」
そう言い切り、第三師団の方をひと睨みした後にニッッコリと笑ってやる。
虚をつかれた奴らの顔はマヌケ面だった。きっと、この嘲笑に俺がキレだすと思っていたのだろう。
レイスがドヤ顔してたけど。なんでお前がするんだ。やめろ、バカっぽいから。
***
……何故今さら第七となんだ。
自分の募る不満を抑えながら、今回の演習をどう運ぶか考える。団長は遅れてくると言っていたし、私が作戦を練らなければならない。我々が特殊部隊といえど、国の砦なんて聞こえはいいが、引きこもりと揶揄される奴らとは日頃の訓練が違うことをハッキリさせなくては。
合同演習の内容としては、城外戦を模した訓練場にてお互い2チームに別れて勝ち数が多い方の勝ち、というものだ。
それにしても今まで第七師団三番隊なんてシークレット扱いだったというのに、一体どういうことか。一般市民の注目の的、大人気の"ダガー"なんて表に出てくるはずがなかったのだ。
明らかに、第三の方が数が少ないのでこちら側が人数調整をすることになる。
「副団長!!どうするんですかぁ〜?」
「ジジ」
彼女はジルベール。日頃から私を慕いついてきてくれる団員である。彼女は私が"ジルベール"と呼ぶと、『副団長〜〜!!ジジって呼んでええ〜〜!!』と駄々を捏ねる。まるで幼子のようだがその実力は高く、評価の対象にある。
ふむ、どうしようか。ダガーの隊長を認識するのは今回が初めてだが、あんなのが隊長になれるのだろうか?細く小さい身体で何ができるというのだ。
「おい、アイツらくじ引きでチーム分けてるじゃねぇかよ」
「はあ?まじかよ!アホじゃねえの!」
そんな団員達の声を聞き、隣をチラリと見ると本当にしている…!アレはこちらを馬鹿にしているのか…!?
いや、断じて盗み見をするつもりは無かったので、意識を団員達に向け、指示を出す。
……………完膚無きまで叩き潰してやろう。
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