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おもりはたいへんよ

「オイ、セイウン!!」 俺は今すこぶる機嫌が悪い。朝食べた魚は骨がたくさんでめちゃくちゃ口怪我したし、足の小指を角にぶつけるし 「うるせえ、なんだよレイス」 隣にいるこのスカシ野郎も気に食わねえ。 第一、 「んで、アイツが帰ってきたってのに!!演習とかふざけてんのか!!!」 あんのガキンチョがガッコウから戻ってきたのに、団長のところでずっと話してるし、俺らはこれから第三師団の連中と演習だァ? 「ふざけんな!!!!」 「うるせぇ、今まで正体つかずだった俺達ダガーと一緒に仕事なんて嫌だろうが。だから、顔合わせを含め てんだよ。」 「仕事ォ?今まで俺達だけでやってきたじゃねぇか!一緒に仕事するっつっても一番隊二番隊くらいで、他の師団なんて関わったことねえだろ!!?」 セイウンだって嫌じゃねえのかよ! いくら叫んでも、セイウンは俺を宥めることもせずに、自身の大剣のメンテナンスをしながら返事をする。 「しゃーねえだろ、一番隊も二番隊も今忙しいんだよ。第三師団だって今やっと団長サマがお戻りなんだ。意気揚々と仕事してくれるさ」 なんなんだよ、その第三師団ってのはよ! 全部気に食わねえ! *** 隣でガキの様に怒鳴り散らすコイツに呆れながらも、まあ気持ちはわからんでもないな、と思う。 俺達第七師団三番隊は今まで他の師団と共に任務なんてしたことがない。 三番隊で唯一顔が割れていたのは、他の隊と情報共有をしていた俺くらいだし(同じ情報担当のニイロさんは外に出たがらない)レイスも緊張してるのか?…んな訳ないな。 シキに会いてえだ、なんでいないんだ、と喚くのはこのレイスだけに限らず。このおよそ三ヶ月、宥めるのが大変だった………。まあアイツも任務とかで夜中に抜け出して戻ってくるけど、すぐ寮に帰るしな。 レイスの喚きを右から左へ聞き流していると廊下の奥から2つの影が走ってくる。 「「セイウンーー!!」」 「お、ライトとエルか」 「俺達やーっとお披露目って感じ?」 「やっとだね」 この深緑色の髪を靡かせ、近づいてきた正体は双子のライトとエル。 普段活発な兄ライトとそのストッパーである弟エルだが、今回ばかりは2人とも少し興奮気味である。 「「シキは?」」 「シキは今団長のとこ。お前らとっととアップ済ませてこいよ。」 「「俺達は終わってるよ」」 「あーレイスは終わってないだろ。早く行ってこい」 「うるせぇ、指図すんな!!!」 なんでこうもこの隊は曲者ばかりなんだ。トーカさんどうかしてるよ、と1人ごちる。よくシキもこの隊をまとめてるよなあ…、いやどちらかというとアイツ調教師の様なもんか? 「「いってらっしゃーい」」 息ぴったりな双子を見て、なんとなくつい溜息をついてしまう。………シキ、なんでもいいから早くこっちこい……。 *** 廊下を歩いているとなんとなく寒気。誰かに噂されてるのかなあ。 演習場の前までくると、よく見知った、そっくりな顔が2つ。 「「あー!シキ!!」」 ライトとエルである。二人とも背が伸びお兄さんはたじたじだよ…とほほ。 「久しぶり。ライト、エル。背、伸びたね」 「へへへ、俺この三ヶ月で5cm伸びた!!」 「…俺、6cm」 「二人ともすごいなあ」 二人が褒めて撫でてと言わんばかりに頭を向けるので、ぐしゃぐしょと頭を撫でまわす。 「ぅおっ!!!ガキンチョ!!おっせーよ!!」 双子の声を聞いて駆けつけたのか、演習場の扉から勢いよくでてきたのはレイスである。 「相変わらず、うるせえなあ。」 「おい、シキ!!!俺と対マンだ!!」 そう喚くレイスの頭を鷲掴み、セイが演習場から顔を出す。 「おい、レイス。てめぇアップの途中だろうが。つーか、これから第三と演習だっつってんだろ。隊長と対マンは後にしろ」 その顔はニコニコと笑いながらも、般若を彷彿とさせる。…セイ、お前色々大変だったんだな…

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