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「ノア!大丈夫だったか?」 呆然としているノアに声をかける。色を失っているその顔色に不安が募る。 「あ、うん…だいじょうぶ…」 「ノア…?」 シノとクロも不思議そうにノアを見つめている。普段この四人でいる時は基本的に素で過ごすノアだが、この状態は見たことがない。素とも言えないし、普段の猫を被っている様子もない。 「ノア、何かあった?」 一切目を合わせようとしないノアに、涙がでそうになる。…俺、何かしたかあ…? 結局ノアはシノとクロが教室へと連れ帰った。 俺はどうにもノアが握りしめていた写真らしきものが気になったのだ。ノアがあんなに泣きそうな原因を探しに行くことにしたのだ。 大体検討はついている。俺は部室棟へと足を運んだ。 * 「どーぞいらっしゃい、お客さんなんて久しぶりだわぁ~」 地方の人が標準語を話そうとしているような印象を受ける喋り口調。 関西弁が少しはいっているのか…?まあ実際ここは日本でも地球でもないので、正確には関西弁ではないのだけれど。 「…ここは新聞部の部室であっていますか」 「あってますよぅ、どーぞ、こちらお座りになって」 授業中だというのに、新聞部の部室にいたのは糸目が特徴的な小柄な男だった。 ひょうきんそうなその様子に、どことなく警戒心が煽られる。いや、普通だったら警戒なんてしないんだろうけど…。その腹の中で何を考えているのかわからないのだ。 「…どうも」 「そんなに警戒せんでもええやないかぁ、いけずやわぁ…」 いつもは浮かべる愛想笑いもせずに、目の前の男に猜疑心を向ける。俺の様子が余程面白いのか、さらに笑みを深める目の前の男。 「どうも、(ワタクシ)新聞部のハスというものです、以後お見知りおき。」 「ハス…」 少し東洋の顔立ちというか、関西弁と言う時点で自分の住んでいた日本を思い出す。こいつの名前のハスのイントネーションも「蓮」と同じだ。わざとらしい程に丁寧な喋るところからして胡散臭いのだけれど。 「呼び捨てなんて、僕嬉しいです」 「ああ、失礼しました。ハスさんですね…どこかお名前の響きに懐かしみを覚えたものですから」 「東の国の音かもしれませんねえ、僕ハーフのハーフのハーフやねん」 ワンエイス、か…?東の国とは『東倭国』と言われる、四季がある大変美しい国だ。 まあそれはどうでもいいことだ。 ハスは、「まあ、それは置いといて」と両腕を横にずらして話を転換する動作を見せた。 「それで今日はなにしに来はったんです?」 早速本題に入るのか。この男はどうやら話術に優れているらしい。 話の流れをこちらに握らせないつもりなのだろう。 「…遠回しに言っても仕方がないので、単刀直入に言いますが」 そこで一つ区切りを入れる。 「アンタ、俺の友人に何を言った?」 どこに向けているのかわからに笑みだけが嫌に不気味で、手の内は冷や汗で濡れている。

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