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第10話

真剣に言ったのにソイツは呆気に取られた顔をして、少し間を置いてからプッと笑い出した。 「ねぇ、まだフェロモンにあてられてる?オレ、Ωだよ?今までどれだけ性処理に使われてきたかわかる?」 誰彼構わず誘惑するΩのフェロモン。 それがどんなに強烈か、オレだってさっき身を以て体験した。 理性なんてなくなって、ただ欲望を吐き出したい。孕ませたい。噛み付きたい。 数少ないΩの発情を目の前にして理性を保てる奴なんて殆どいない。 「オレはそんな利用のされ方はもう嫌だ。運命だからって気持ちもないのに抱かれたくなんかない」 「そんな事しないって言っただろ!?」 「そんなのこれから先、わからないじゃないか!」 例え今は何とか保てられても、この次もしまた発情期にフェロモンにあてられたらどうなるかわからない。 その度に手を噛んで痛みで誤魔化すのか? それとももっと強い痛みを自分に与えて? 薬さえちゃんと飲めばフェロモンにあてられることもないけど、今日みたいに突然発情した時はどうする? オレがコイツの傍に居たら、突発的に発情する事がこの先何回も起こるかもしれない。 オレがほんの一瞬でも「守らなきゃ」と思った相手を、オレの存在のせいで危険に曝してしまう。

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