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第9話
「なんでこんなにお前に惹かれるんだ……?」
オレは何を言ってるんだ。
それが運命の番ってやつなんだから仕方ないだろ。惹かれ合う様に出来てるんだ。
「お前もそうじゃないのか……?」
頭ではわかってる。
分かってるから苦しい。
番えないなら最初から出逢いたくなかった。傍にいるだけで全身の血液が沸騰するような、こんな感覚知りたくなかった。
「……貴方はいい人だから、きっとオレみたいなΩじゃなくてもっと素敵な人と出逢える」
「いい人じゃない……犯そうとしたんだぞ」
「でもしなかった。こんな怪我までして抑えてくれた。無理矢理やろうと思えばオレは抵抗出来ないのに」
ハンカチを巻かれた手にソイツが手を重ねてきた。生地越しで体温が伝わらなくてじれったかった。
「オレに貴方は勿体ない」
離そうとする手を思わず握った。ズキンと痛みが走ったけれど、離す気はなかった。
「勿体ないとか、お前が勝手に決めるな」
「オレは自分の事は自分で決める」
「そうじゃない!」
手を離そうとするから更に強く握るとハンカチの隙間から血がポタリと落ちた。
オレの服に赤黒く染みて滲んでいく。
「これは、オレとお前の……二人で考える問題だろ!?」
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