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第14話
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やがて巡る季節。
あの運命の出逢いから数ヶ月が経ち、季節は春。
大学生になったオレは新しく出来た友人達と次の講義に出るために構内を移動していた。
春は花の咲き誇る季節。
花の香りを嗅ぐとアイツを思い出す。
どれ一つ同じ香りじゃないのに、最後に見せたあの笑顔は花の様だった。
あの日からずっと花の香りに捕われたまま。
ふいに、愛おしい香りが漂ってきた。
よく知っている、ずっと求めていた花。
向こう側から歩いてくる数人の塊の中にその花はいた。
オレは今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑えてゆっくりソイツに近付けていく。
向こうもこちらに気が付き、驚いた顔をした後、ふわりと微笑んだ。
まるで春の陽気のように。
目の前まで来てお互い立ち止まる。
周りの友人達が「どうした?」と声を掛けて来るけど、答えなかった。
「やっぱり、逢えると思ってたんだ」
嬉しい気持ちが顔に出るのを抑えきれなかった。
「名前、聞いていい?」
オレの問いにソイツは背伸びをしてオレの耳に小さく囁いた。
それは愛しい花の名前だった――。
終。
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