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第1話

まるで見世物かのように、大観衆の前まで引き出された彼は、粗末な麻布だけを纏い、それまで民衆に崇められていた騎士団長とは思えぬ姿を晒していた。 国境付近まで追い詰めた野盗に裏をかかれて、砂漠に迷い込んだのは自分の落ち度だった。 オアシスも見当たらず、負傷した部下に水分を与えるために、近くにあった馬鹿デカイサボテンの一部を切り取り、弱っていた部下の口に含ませたのだ。 それが罪になるとはまったく考えてはいなかった。 「では、カムル·グノーシス。貴殿はあの神の覇王樹をそれと知らずに傷つけたというのかな」 目の前に立つのは彼の属する王国の神官で、彼は神ノ樹とされる覇王樹を傷つけた罪人として裁かれようとしていた。 「はい……知りませんでした。いえ、たとえ、知っていたとしても、私は部下の命を救うために同じことをしただろう」 それが例え神聖なものだとしても、目の前で弱る部下を見捨てることはできなかった。 「神の怒りを受けて大勢が死ぬようなことがあっても、そなたは、自分の部下のたったひとつの命が大事なのだといいたいのか」 神官の怒りの言葉がカムルに叩きつけられる。 ひとつの命と大勢の命、どちらか大事なのかは多分わかりきっていることだ。それでも、きっと目の前にある消えかけた命を救ってしまうだろう。 覇王樹を切った時に刺さった棘がじくじくと痛み、体が随分と熱をもっできている。 神官はそれを呪いだと診断した。 自分がどうなろうと、それでも部下を救いたかった。 「私には、彼を見捨てることはできませんでした。民を守るべき騎士として……弱きこころを持つ私を罰してください」 観衆たちがわーっとざわめく。 罪人の処刑を見るのは、民の楽しみでもある。 この罪が死刑になることは、大体予想できた。 それならば騎士として潔く罪を認めて、処刑を受け入れよう。 「カムル·グノーシス。そなたは既に神罰を受けている。神の供物であるオメガの存在を知っているだろう。おまえの体は覇王樹の針を受けてオメガへと作り替えられている。本日をもって、お主を騎士団から除名し、今後は供物として生きることを神の名の元に宣授しよう」

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