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第11話 監視する者
目を閉じる前に感じた不安が、僕の身体中に広がっていく。それが熱を帯びて身体がどんどん熱くなるーー。
全身が熱くて身体の奥が溶けていくようだ。
自分の苦しい息遣いに気付いて、重い瞼をゆっくりと開いた。
ぼんやりとした目の前に、眼鏡をかけた人の顏がある…。
「ああ、気が付いた。どう?気分は」
白衣の先生が、僕に跨って上から覗いてる。僕に尋ねながら、僕の服の裾から手を入れてきた。冷たい手で脇腹を撫でられ、ピクリと肩が跳ねる。
「あ、やぁ…」
意図せず声が出てしまう。
先生の腕を掴んで退けようとするけど、力が入らない。何度も肌を行き来する手に身体の熱がますます高まってゆく。
「ふふ、いい声だ。もっと聞かせて」
手が上に上がってきて胸の尖りを摘んだ。ぎゅっと力を入れられ背中が仰け反る。
「やっ…、あ…」
「いいね、よく薬が効いたみたいだね。可愛いよ」
薬…?薬って……。
先生が、僕を見て不敵な笑みを浮かべた。
「わからない?水に溶かして入ってたんだよ。大人しくしていて欲しいからね」
先生が情欲を光らせた目で僕をじっとりと見つめる。見つめられて僕の身体の奥がまたじわりと熱くなる。
さっきの不安は、すでに僕は捕らえられてしまっていたからだろうか?もう逃げることができない。
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