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第26話

そっとドアをあけ、様子を伺うが、人の気配はしない。 長潟教授の研究室とは打って変わって、綺麗に片付けられている。 足音を潜めて、中のほうまで歩いていると、さらにその先に扉があることに気づいた。 扉は重厚だったが、ここもやはり、施錠はされていない。 気づかれないように数ミリ、ドアを開けると、教授の苦しそうな喘ぎ声がハッキリと聞こえてくる。 やっぱり…、この扉、防音だ。 そう思うと同時に、教授を救わないと、という思いに駆られる。 そして、思い切り、ドアを開けた。 「長潟さんっ!!!」 そこには、全裸にされ、乳首と陰茎に電極のようなものをつけた長潟教授と、それを心底楽しそうに眺める滝田教授がいた。 俺の声に、長潟教授は目を見開いてこっちを見ている。 が、滝田教授は特に焦った様子もなく、こちらを一瞥すると、さらに笑みを深めた。 「長潟さんを解放してください」 「最近の雪が、心ここに在らずだったのは、君のせいかな?ねぇ、雪」 「あっ、ひぃっ、彼は関係ないですからっ」 電流が流れているのか、長潟教授は依然苦しそうだった。 「関係あります。長潟さんは俺の大切な人です」 「ほう…、それは初耳だ。残念ながら、君は私の好みではない。お引取り願いたいが」 「いやです。だったら長潟さんも一緒にお引取りします」 「君は何か勘違いをしているね」 「勘違い?」 「あたかも、まるで私が無理やり、雪を犯しているような言い振りだ」 「何か間違えていますか?」 「合意の上、だよね、雪」 「あ、そう…、です。だから、澤川くんはここから…」 「何が合意なんですか!?ちゃんと本心を言ってください!俺は本心で長潟さんに接しているのに…、なんで…」 「ふふ、君はいささか青すぎる。雪には相応しくない」 「未熟かもしれないですけど、俺は長潟さんが好きです。滝田教授には負けたくないです」 「どうなんだい、雪。あとは君の気持ち次第だ」 「あっ…、ひぅっ…、た、助けて…、澤川くん」 教授が苦しそうに俺に手を差し出した。 教授が…、俺を選んでくれた。 「そうか…、雪は他とは違うと思っていたが…、見損なったよ。好きにするといい。私の実験そのものは成功したからね」 そういうと、滝田教授は俺の横をすり抜けて、この異様な空間を後にした。 俺はあまりの急展開に唖然としたが、依然苦しそうな長潟教授にハッとして、あわてて駆け寄った。

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