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第51話

翡翠side 弟達を家に送り届けてから、最近出来た恋人の家に迎えに行った。昼からデートの約束をしていたのだ。 「出て行け!!よくそのツラ見せに来れたなクズ野郎!!!出て行けよ!」 「まぁまぁ〜、そんな怒んないでよ〜!セイちゃん、かなしぃ〜!ほら、そこどいてよ弟く〜ん?君の愛しいお兄ちゃんは俺のこと欲しがってるんだよぉ〜⁇」 「誰がお前なんか待ってるか!!帰れっ!!!今すぐ帰ってもうここに来るなっ!!」 またやってる……。佑々木 聖。彼は兎の獣人でα。成績も、運動神経も、文句なしに良くてルックスも中世的で美しい……。 ただ、性に奔放すぎるのだけはどうかと思うけど……。 そんな彼に罵声を浴びせているのが俺の恋人の和爾 春。彼と出会ったきっかけは、彼が泣きながら夜の街を歩いていたからだ。 「は〜い、喧嘩おしま〜い…。春は俺と今からデートでしょ〜行くよ〜。佑々木、君はもう少し遊ぶのをやめなよ。雨が可哀想」 「ご忠告ど〜も〜……。それじゃ、そのうるさいのどうにかしてくださ〜いっ!まったね〜」 「もう、ほんとに帰れ!!!二度と来るなー!!!!」 αで、夜遊びの激しい佑々木に兄を任せられないといつも喧嘩している。しかし、佑々木は、春の兄、雨の番で…。 佑々木と雨を引き離しては、兄が病むことを知っていながら、それでもあの遊び人だけは許せない!と怒っているのだ。 「分かってるんだけど……。僕、許せない!アイツ、僕の兄を番にしたのに他のやつとも遊んでるんだ!!!お兄ちゃんのこと大切にしない奴に任せられないー!」 「そうだね……」 「悔しいよ……。僕、アイツに何も勝てないし、何よりもβなのが、悔しい……。僕じゃ、お兄ちゃんが苦しい時に助けられない…。悔しいよぉ……」 その気持ちは痛いほどよくわかる…。俺も夜や魅夜が発情期で苦しんでいる時に助けられなかった…。 ただ苦しんでいるのを見ていることしかできなかった……。それがとても悔しくて、苦しくて……。辛かった……。 「うん……。悔しいね…。悔しくて…、苦しいね……」 「翡翠……。苦しいの……、助けてよぉ…」 「ホテル、行こっか……」 「うん……」 そのせいか俺たちの性癖は歪んでしまった…。見えないところに傷を作るのが好きになってしまったのだ……。

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