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告白④
夜明けの太陽の光に照らされるまで、俺達はその場で抱き合っていた。
名残惜しげに抱擁を解くと、楼主様は俺をあの時のように横抱きにした。
「もう『楼主様』ではない。
お前の伴侶だ。ルークと呼べ。」
顔面が崩れそうな笑顔で俺にキスをすると、元来た道を歩き出した。
「…ルーク……」
名を呼ぶだけで身体が火照る。
真っ赤な顔の俺を見ながら、ルークは心から嬉しそうに声を上げて笑っていた。
行きとは違い、堂々と俺の腰に手を回しぴったりと寄り添うルークは、何度も俺の顔を覗き込み、微笑みをくれる。
俺はもう面映ゆくて、どんな顔をして良いのかも分からなくて、縮こまって俯いていた。
また、あの楼閣が見えてきた。
「着いたぞ。」
「お帰りなさいませっ。」
心配そうな顔のイリアスが、寄り添う俺達を見た瞬間、ぱあっ と輝く笑顔を見せた。
従順で忠実で実直なこの部下は、涙ぐみながら
「書類は全て整っております。
後はサインをしていただくだけです。」
と告げた。
少し離れた場所で控えていたアクトはただ頷いていた。
「では、すぐにサインを。手続きを頼む。」
腰を抱かれたまま、ルークの部屋へと連れていかれた。
机の上に置かれた『契約書』と…
そして…『婚姻届』!!!
ルークは、眼を見張る俺にウインクをして先にサインをすると、俺にペンを持たせ書くように促した。
震える手で書いた2種類の書類。
イリアスは恭しく受け取ると、満面の笑みで祝いの言葉を残し、役所へ飛んで行った。
1年後…
「お前が楼主とできちゃうなんて…はあっ、世の中分からないもんだねぇ。」
西の華花魁となった美鶴さんが、時々遊びに来ては、こうやって揶揄う。
「珍しいお菓子をいただいたんだ、良かったら食べるかい?」
東の華花魁の千尋さんも顔を出してくれる。
様々な事情でやって来て、春を売る高楼の館。
それでも明るい笑い声に満ちたこの場所は、俺達の城。
悲しみも苦しみも喜びも楽しみも何もかも受け入れて、俺はお腹に宿った新しい命と共に、愛するひとと、かつての仲間達と一緒に越えていくのだ。
「明日はみんなでお花見だよ!」
---了---
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