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告白③

何が何だか分からない。 愛してる? 愛してる、って言ったの? 俺…人間で、Ωで…数え切れないくらいに身体を開いて抱かれてるんだよ? 身体を暴かれ、中に出されて…穢れてる… そんな俺に…愛してる、って言ったの? そっと胸を押して少し離れて見上げると、1年前に見た、あの獅子の顔が滲んでボヤけて見えなくなってきた。 「瑠夏…」 あ…この匂いだ… あの時と、楼主様に抱かれた時と同じ… 黙って泣いている俺に焦れたのか 「瑠夏、何とか言ってくれ。」 悲しそうに眉間を歪めて懇願された。 「…俺は…俺は…数え切れないくらいの客をこの身に受け入れて…あなたに相応しくない… こんな、こんな身体の俺に、簡単に愛の言葉なんて言っては駄目です。 …約束が果たせて嬉しかった。 お会いできて…ううん。もう、お会いしてたんですよね。 これでもう、思い残すことはありません。 ありがとうございました。」 「瑠夏…」 ポロポロ涙が溢れる。さよなら大好きなひと。 願いを叶えてくれてありがとう。 これでいいんだ。 それでも必死で笑おうとしたけれども…できなかった。 「瑠夏…愛してるんだ。」 抱きしめられて、脳天から電流が走るような甘い痺れに翻弄される。 「俺がお前の身請けをする。一生側にいて欲しい。 楼主の座など誰かにくれてやる。 お前は穢れてなどいない。ナカは、すぐに俺の形を覚えさせてやる。 二度と忘れないようにな。 それでも…駄目なのか?」 「身請け…?」 「そうだ。お前はもう、俺のものだ。 瑠夏、お前は俺のもの。」 桜吹雪の中で、そっと唇が重ねられた。 身動きできない。 拒否できない。したくない。 もっと、もっとキスを下さい。 大きな舌に嬲られて、開いた隙間から捩じ込まれる懐かしいそれを受け入れた。 極上の甘露のような唾液に、身体中が蕩けていくよう。 頭に頬に、花びらが降る雪のように積もりゆく。

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