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告白②
知らぬ間に手を繋がれ、まだ薄暗い小道を歩いて行くと、あの桜並木の道に着いた。
俺達2人以外、誰もいない。
心臓が爆発しそうに打ち響いていた。
ひらひらと風に舞うように落ちていく花びらを纏いながら、楼主様に手を引かれて歩く。
何故?
どうして?
俺の戸惑いを無視するように、ただ歩き続けた。
あの桜の木が近付いてきた。
どくん
心臓が大きく跳ね、呼吸が苦しくなる。
そこへ行きたいのに行きたくなくて、自然と歩幅が小さくなり、転びそうになった。
「あっ」
次の瞬間、身体がふわりと宙に浮いた。
「…また転ぶつもりか?」
「え…っ…」
完全にパニックになっていた。
何故?
『また』ってどういう意味?
訳分からない。
まさか、まさか……
横抱きにされたまま、俺は硬直していた。
思考回路はショートし、考えるのを止めてしまった。
あの桜の木の下に着くと、楼主様は俺をゆっくりと下ろした。
「ここだったな。」
そう言うと、ゆっくりと面を外し始めた。
まさか、本当に!?
そんなバカな事がある訳なんか…
はらりと外された面の下から現れたのは…
「…あの時の…獣人様…嘘…楼主様が………」
かくりと力が抜け、崩れる俺を楼主様が抱きかかえた。
「騙すつもりはなかった。黙っていてすまない。
あの館で…再会した時は驚いた。
それならば、せめて最初の男は俺が…とお前を抱いた。
お前が…俺との約束のためだけに逃げたと、後から聞いたんだ。
俺だって、あの約束をずっと忘れたことはなかった。
全てを捨てた俺をお前が受け入れてくれるはずはないと…お前が旅立ち、自由になるのを見守ろうと決めていたんだ。
一生この思いを秘めて生きていくことを決めていた。
でも、高ぶる気持ちは押さえられなかった。
瑠夏…こんなに誰かを愛する気持ちになれたのは、お前が初めてだ。
愛している。
ここで出会った時から。
お前の残りの人生を俺にくれないか?」
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