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告白①
「瑠夏、瑠夏…起きなさい。」
早朝、まだ金星達が瞬きを鎮めない時刻に、アクトにそっと起こされた。
「…アクト?こんな時間に」
「しっ。静かに。
出掛ける準備をしなさい。
楼主様がお待ちだから。早く。」
意味が分からないまま急き立てられ、慌てて支度をした。
皆が寝付いた部屋の前を音を立てないように、注意して進む。
楼主様?
一体何処へ連れて行かれるんだろう。
まだ罰は続いているの?
ここを追い出されたら…何処に行けばいい?
胸の鼓動がどくどくと駆け足のように鳴り、手の平がじっとりと嫌な汗をかいている。
「楼主様、瑠夏を連れてきました。
…行ってらっしゃいませ。」
「うん。ありがとう。では後を頼んだぞ。
昼までには戻る。
瑠夏、こちらにおいで。」
春とはいえ花冷えのする早朝のこと、気温の低さと恐怖で俺は震えていた。
ふわりと暖かなコートが肩に掛けられた。
驚いて見上げると
「まだ冷えるからな。さ、行くよ。」
何が何だか分からないまま後部座席に乗せられ、楼主様の隣に座らされた。
見る間に楼閣が小さくなっていく。
「あの…何処へ?
俺は罰で捨てられるのですか?」
ふるふると震えながら問い掛けた。
すると、楼主は目を見開くと笑い出した。
「…そんな…『捨てる』なんて…
着いてからのお楽しみに取っておこうか。
エリフォン、ちょっと急いでくれるか?」
「はい、承知致しました。」
運転手の豹がゆっくりと加速していく。
車は滑るように街を抜け、しばらくすると見慣れた光景が現れた。
「ここは…」
間違いない、俺の…故郷だ。
戸惑いを隠せないまま楼主様を見遣ると、微笑んで頷いた。
「ここでいい。停めてくれ。
エリフォン、しばらく待っていてくれ。
瑠夏、降りるぞ。」
どうして、何故ここへ。
ぎゅっと両手を握り、ぎこちない動きで車を降りた。
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