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第1話
うわ… 面倒臭…
正直な感想だった
だってそうだろ⁇
あんな所見て そう思わないやついるの⁇
折角今日の仕事が終わり、さぁ 家に帰ろうという時に、一人の生徒が多人数の生徒に囲まれてこの建物を出て行った
艶やかな黒髪に クリッとした大きな瞳
その中性的な顔立ちは 一際目を引くモノがある
しかし 彼は人気者な訳ではない
どうにも鈍臭いらしく、周りにΩだという事がバレてしまっている可哀想な子
以前 講義中に漂って来た甘い香りに、ん⁇と思った時には 同じクラスに居た他のαの生徒に、コイツΩだと指を指されていた
普通Ωは発情期にだけは気を使うものだと思っていたが、どうも彼はその兆候が掴みにくい様でよくフェロモンを垂れ流しにしている
はっきり言って かなり迷惑だ
受験勉強に励む子達からしたら集中力を欠く以外の何物でもないだろう
「…はぁ 面倒臭」
運命の番とか そんなもん要らないから 俺の平穏な日々を邪魔するんじゃねぇよ
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