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第5話
「痛っ‼︎」
「我慢しろ」
消毒液をつけた後、ガーゼを当て、こんなものかなと 出していた物を適当に元の箱に閉まった
「終わったぞ」
「あ ありがとうございます」
制服のYシャツに袖を通すのを見届けると、コンビニで買ってきた弁当をテーブルに並べた
「お前、どれ食う⁇」
「え⁇ あの…」
戸惑っているのが伝わってきたが、気付かない振りをして、子供が好きそうなハンバーグ弁当を渡した
「…ありがとうございます」
「ん…」
食べ終わった頃、洗濯終了の音が部屋に響き渡った
乾燥も問題ない事を確認してから、それらを横芝に手渡した
俺がトイレに行っている間にちゃんと着替えていて、よしと心の中で独り言を呟いていた
「駅まで送ってく」
「………」
どこか帰りたくなさそうに見えて、一瞬戸惑ってしまった
多分 コイツから漂う哀愁の香りに、やられてしまったんだと思う
「何⁇ 帰りたくないの⁇」
一瞬の間の後 コクリと首を縦に動かしたのを見て、座っている横芝に目線を合わせた
「コレ…親にやられたのか⁇」
背中を軽く人差し指で突くと、ギュッと唇を引き結んでいる
その姿に 無意識に綺麗な黒髪を撫でていた
そんな俺の動作に 涙目で見上げて来られて、堪らず白い頬に口を寄せてしまった
「…先生」
横芝がそう俺を呼んだ瞬間、ふわりと甘い香りが漂って来て、気が付いたら華奢なその身体を押し倒していた
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