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その瞳に溺れる14
いつもよりほんのり熱い口内。食らいつくようにキスを仕掛けたら、それに応えようと必死に舌を伸ばしてくる。いつまで経っても慣れない彼の拙さがやけに愛おしい。
「ぁっ……」
口の中をたっぷりと愛撫して、唇を離した頃には濡れた唇は赤く色づいて色香が滲み始める。見上げてくる瞳には熱か浮かんで、その先を請うようにも見えた。細い首筋を手の平で撫でると、痕を残した場所にもう一度噛みつく。
少しキツいくらいに歯を立てたが、鼻先から甘い声を漏らす。
「あんた、意外とMっ気があるよな」
「えっ、そ、そんなこと、ない、です」
「いまここ囓られて感じてただろう」
「……く、九竜さんがしてくれることは、全部、気持ち、いいです」
恥ずかしそうに目を伏せて、とんでもないことを言い始める目の前の男にめまいがする。こんな美味そうな据え膳を食べ逃してなるものかと少し感情が振り切れそうになった。おもむろに身体を抱き上げると驚きに身を固くするが、構わず腕に収めたまま寝室へ足を向ける。
そして突然のことに対応できていない可愛い男を広いベッドに転がした。柔らかく沈むベッドの感触に目を瞬かせて見上げてくる、そのどこかあどけない表情も欲に溺れさせたくなる。
「えっ、九竜さんっ! 待って、あっ……」
横たわる身体にまたがりデニムに手をかけると、小さな抵抗を無視して無理矢理に引き下ろす。細くて白い脚が室内の間接照明の中で際立って見える。それに舌なめずりしてニットの裾から手を忍ばせ小さな尻を覆うボクサーパンツまで引き下ろした。
慌てて抵抗するように脚を閉じるけれど、それも大した威力はない。簡単に脚からすり抜けたものはデニムと一緒にベッドの下へ放る。
「待って、くだ、さい」
「残念だが待ってやれない」
「やっぱり怒ってるんですか?」
「いま俺が怒っているように見えるのか?」
「……ちょっと、怖いです」
「それはいまあんたが食いたくて仕方ないからだ」
不安げに瞳を揺らすそれさえもそそられる。荒々しく唇を重ねて、太ももから手を滑らせて中心まで移動していく。怖い、そう言いながらも素直な性格のままに正直な身体は反応を見せていた。
手の平でじっくり撫でていけば、次第にそれは蜜をこぼし始める。それとともに小さな甘い声が唇からこぼれ出す。扱くたびに腰がビクビクと震えて声が切羽詰まったように短くなった。
「なんだ、もうイキそうなのか?」
「ご、ごめん、なさいっ」
「泣くほど気持ちがいいのか? こらえ性がないな」
「だって、ぞくぞく、して、我慢でき、ないっ、……ぁ、あぁんっ」
「あんたのそのいやらしくて可愛いところ好きだよ」
溢れてくる蜜をたっぷりと塗り込めるように扱いて、その先の快感を誘うように溢れさせるそこを指先でこじ開ける。すると甲高い嬌声が上がってビクンビクンと身体を震わせて果てた。視線を上げると肌まで赤く染まっているのがわかり、涙の浮かんだ艶っぽい目で見つめ返される。
まっすぐな目に加虐心を煽られた。身体に力が入らないのをいいことに少し乱雑に身ぐるみを剥ぎ取っていく。あらわになった美しい姿態はひどく艶めかしくて、濡れそぼった熱はいやらしく、ツンと立ち上がった胸の尖りは愛らしい。
覆い被さるように身体を寄せると肌を舌でたっぷり味わい、胸の尖りを指先で可愛がる。それだけでたまらないのか焦れたように腰を揺らす姿は極上だ。
「んぅっ、く、りゅ、さんっ、……そこだめっ、すぐ、イっちゃう」
「竜也は本当にここが弱いな」
一番初めに教え込んだ性感帯。胸の尖りは酷くいじめてやるとすぐに達してしまう。さらに突っ込みながらそこをいじれば締めつけがたまらなくて癖になる。けれどいまはそこだけでイかせてやろうと口に含んで吸い上げた。
「んんっ……いや、いやっ、だめっ」
「そんなに嫌なのか? やめるか?」
「あ……、んっ、九竜さんので、イキたい、です。中に欲しいです。中が、寂しい」
「随分と可愛いおねだりだ。あとで嫌だなんて言っても聞かないからな」
誘うような目で見上げてくる、それにガツンときた。今夜はこの身体を解放してやれそうもない。いまは飢えた獣になった気分だ。誘うように腕を伸ばされて溺れるようにのめり込んでいく。
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