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2話
街は沈み、風。靡く音、聞こえる。公園だ。いつものように素振りをする。この一ヶ月の間で二人はもうすでに野球部に入っていた。
太陽の上達速度は異常で、下手な先輩達よりも上手くなってしまった。大和は、嫉妬していた。他のチームメイトもそうだろう。太陽は、きっとすぐにレギュラーになる。
一方。大和も異常だった。先輩達に嫌われる事なく、着実に上手くなっていった。
これは彼特有の、生きる才能から来たのだろう。
後に、大和はこの野球部で、ピッチャーを勤める事になる。
大和を凡人と評価するか、努力の天才と評価するかは、人によるだろう。
「やまと! 素振りしたでー!」
大和は、鳥を見つめていた。意味は無い。
「あ、じゃあどうしよっか」
太陽は周りを少し見渡し、
「ブランコのろか」
太陽は少し変わっていた。特有のセンスと言うのか、言うなれば主人公だった。
大和は、太陽と対を成す、魔王だとある人は評価した。
少し錆び付いた、ブランコの音が、静かな公園に響き渡る。
「なぁ……大和」
太陽が空を見ながら呟く。空は、大阪では珍しい、綺麗な星空だった。
なに? そう言い、太陽の方に振り向くと、
大和の唇に、何かが当たる感触がした。
太陽の、唇だと気づくまでに、少しの時間が、必要だった。
ーーこいつ、彼女いるよな。
大和は、冷静だった。
このままでもいいと、思った。
だが、駄目だった。
木々の、揺れる音、ぶらんこが、軋む声、世界が、二人だけになったようだった。
「……ごめん……帰ろっか」
そういう太陽の笑顔は、どこか寂しげで、夜を感じさせる物だった。
そうだな、その言葉を、大和は言い出せなかった。
帰りたくない。そう彼は言った。太陽は少し驚いた表情をし、また、彼の唇を奪った。舌を絡ませる。痺れそうなほど気持ちがいい。
時間にしては、短い物だっただろう。
しかし、彼らには、永遠のものに感じられた。
誰もいない。二人の世界で。
消えそうな夜。二人の頭を支配したのは、互いのことだけだった。
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