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第27話
真っ直ぐな廊下をヒールみたいなカツカツという音が響く。遠くから誰か歩いて来た。男だ、ネクタイを締めてる。すらっと長い脚に長身で、肩幅もそこそこ。白人らしい。
髪の色は綺麗な金色で、首が見えるくらいの長さ。
近づいて来るに連れて、彫り物みたいにはっきりした整った目鼻立ちが見えてきた。
(え、モデルかなんか?)
目を見張る。
写真でしか見たことないような綺麗な顔をした男が、こっちに向かって歩いて来る。
「あちらは招待させていただいた王国の王子様でございます。お国の方は欧州の……」
おっちゃんが静かな声で言う。
王子様? しかもその国、王室が有名な国じゃなかったか。
かぼちゃパンツしか思い浮かんでなかった俺には、向こうから歩いて来る綺麗な男とそれが全然一致しなかった。
ちょっと身構えて彼の背中の方に回ろうとするけど、そうしているうちに向こうから話しかけられる。
「御機嫌よう。随分広い城だね。散歩に歩いてるけど迷ってしまうよ」
近くで見ると、本当にモデルとか俳優とかみたいな顔立ちをしていた。誰かに例えるならっていえるほど芸能人に詳しくないのが悔やまれる。彼と過ごして来て黄色人種以外と会う機会も随分増えたけど、目の前の王子様は今まで会ったことがないくらいスラッとしてカッコいい。男として全然敵わない。しまいになんだかわかんないけど、ふんわりと甘い優しい香りがする。
声は少し少年っぽかったけど、凛としていた。
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