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第139話
「っ」
いつまで経っても慣れない。いつまで経っても敏感に反応しちゃう。
「相変わらず初々しい。初めてじゃないのに」
本当に楽しそうに言うから、初めてじゃねぇしって突っ込むタイミングを逃した。
「柔らかいのにきちんと口を閉じている。純潔を守っている証拠だな」
満足そうに言いながら、指の腹でもみほぐすように刺激してくる。少し腰を揺らしながら笑ってしまった。
「純潔なんて何年振りに聞いたかわかんねぇよ」
俺には全然似合わない言葉だし。
彼は首筋や鎖骨にしつこいくらいキスを落としながら、時折そこを舌でなぞってくる。
「お前のためにあるような言葉だ」
「ん、そんな、わけ」
「俺のことを信じてくれる。そして愛してくれる。一途に」
「そ、だけど」
そこは否定しない。信じているし愛している、俺の今までの人生にしてはかなり一途に。だって彼も同じように、俺のことを想ってくれているんだから。
今回の王子の件で、改めて感じたことがある。
俺は本当に彼のことを愛していて、彼以外から好意みたいなものを向けられると、虫酸が走るくらい嫌だっていうこと。
彼との間を壊そうとするものは、どんなものでも受け入れられないっていう、必死で子供っぽい部分が自分の中にあるっていうこと。
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