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愛しさの先にあるもの10※
「離せよ!」
「大人しくしてろ」
応接ルームの奥の扉の先は、黒と赤で統一されたベッドルームになっていた。
黒服たちに腕をとられ、まるで意志のない人形のようになすがままに連れて行かれた薫の後を追って、加賀見がふらつく樹を支えベッドルームに入る。
床にへたりこんでいた和臣も、黒服に腕を掴まれ無理やり引き起こされた。悪態をつきながら暴れる和臣を軽くいなしながら、黒服たちは加賀見に続いて奥の部屋へと消える。
月城はそれらを呆然と見送っていたが、ハッと我に返って慌てて彼らの後を追った。
奥の寝室で、これからどんなことが行われるのか、想像はつく。
そんな残酷なものを見たくはないが、自分だけこの場にとどまってはいられない。
何としても薫と和臣を奪還して、ここから連れ出すのだ。その為には、その残酷な儀式を見守るしかない。
和臣は、中央の大きなベッドの奥にあるソファーに転がされた。
黒服たちは手慣れた様子で和臣の口に猿轡をかませ、2人がかりで暴れる和臣を押さえ込んで、ビリビリのタンクトップ姿のまま嬲り始める。
そして樹はベッドの脇に立ち、俯いて顔を背けたまま、加賀見の手で衣服を1枚ずつ脱がされていった。
すぐ目の前で黒服たちに支えられ立っている薫は、何の感情も窺えない無表情のまま、樹に視線を向けている。
あの状態の薫に、目の前の光景は目には映っても認識出来てはいないのだろう。
だが樹にとっては、薫の目の前で他の男にいいように嬲られるのだ。
こんな惨い仕打ちはない。
「樹。ベッドにあがれ」
下は全て脱がされ、肌蹴たシャツ1枚の姿になった樹に、加賀見が好色そうな笑みを浮かべて低く命じる。
樹は俯いたまま、フラフラとベッドにあがった。
「おまえの大事な兄に、じっくり見てもらうのだぞ。淫らなメス猫の本性をな」
加賀見は囁きながら自らもベッドにあがると、シャツの前を手で掴んで身を縮こまらせている樹に
「おいで。私の上に跨るのだ」
加賀見はわざと薫の方を向いてベッドに胡座をかいている。
震える樹の腕を掴んで引き寄せると、同じように薫の方を向かせ、足の上に跨らせる。
背面座位で薫に向き合うと、身を縮こまらせている樹の細い脚を、後ろからゆっくりと撫で回した。
「おまえは兄に抱かれたことはあるのか?ん?答えなさい、樹」
鋭く命じられて樹はビクッと震え、目を伏せたまま
「いいえ」
蚊の鳴くような声で答えた。
「そうか。ならば後で抱いてもらうといい。まずは私の相手をたっぷりしてからな」
樹の耳元に後ろから唇を寄せ、柔らかい耳朶を舐りながら囁く。
奥のソファーでは、男に後ろからのしかかられた和臣が、くぐもった呻き声をあげ始めた。
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