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愛しさの先にあるもの14※
樹の脚を大きく開かせると、加賀見は本格的に愛撫を始めた。
目の前の薫に見せつけるように、胸を弄り、心ならずも反応を示し始めた下腹の昂りに手を伸ばす。
樹は必死に目を瞑り、顔を背けていた。
「くく……。相変わらず、おまえの身体は敏感だな。もうこんなになってきたぞ?どうだ。気持ちいいか?ほら、どうした。もっと声を出せ。可愛い鳴き声を兄にも聞いてもらえ」
加賀見はわざと樹の羞恥を煽りながら、ゆるく勃ちあがってきたソレを握りこんだ。
「……っ、ぁ、……っう」
声を出すまいと樹は唇を噛み締める。
不意に、それまで微動だにしなかった薫の身体が、ゆらり…と動いた。
月城は息を詰めて薫の様子を見守った。
……正気に……戻ったのか……?
相変わらず、薫の眼差しは何処か遠くを見ているように虚ろだ。だが、微かに眉を寄せている。薬の効き目が薄れ始めたのか。
樹を嬲りながら、加賀見は顔をあげて薫をじろっと睨んだ。そして満足そうに頬を歪めると、薫の左右の黒服に目配せする。
腕を掴んでいた男の1人が、薫の後頭部の髪を掴んだ。
「おい。よく見てみろ。おまえが会いたいと言っていた弟は、すぐ目の前にいるぞ」
ぐいっと髪の毛を引っ張られ、仰け反った薫が苦しげに呻いた。
……頼む。もうやめてくれ。
月城はぎゅっと目を瞑った。
薫が正気に戻れば、樹は地獄の苦しみを味わう。もうこれ以上は見ていられない。
「樹。見てみろ。おまえの兄がおまえを見ているぞ」
加賀見の笑い混じりの囁きに、樹はビクンっと震えて薫に視線を向けた。
「……っ、にいさ……」
樹の顔が絶望に大きく歪む。
薫は呻きながら目を大きく見開いていた。
その視線が樹に突き刺さる。
薫の髪を掴んだ男がそのまま大きく揺さぶった。
「……っく、……いつ、き……」
薫の口から苦しげな声が漏れる。
月城は我慢できずに動いた。
薫と樹の間に割り込み、加賀見に視線を向けて
「もう、やめてくれ。こんな、ここまでする必要があるのか」
部屋の隅に控えていた黒服が歩み寄ってくる。月城は身構えた。
だが、黒服は月城には目もくれず、ベッドの上の加賀見に向かってスマホを差し出した。
楽しげだった加賀見の顔が不機嫌そうに歪む。
「なんだ。どうした?」
「本部からお電話です。緊急と」
加賀見は唸り声をあげて、黒服からスマホを受け取り耳にあてた。
相手の声を聞く加賀見の表情が、みるみる変わっていく。
「……どういうことだ。…………ああ…………ああ…………なに?……いや、わかった。すぐにこちらから連絡すると伝えろ」
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