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月の光・星の光17

「なあ、樹さん。あんたの…あの義理の父親?あの人とはどうやって知り合ったんだよ?」 巨大なハンバーガーをペロリと平らげると、今度はセットのチキンにかぶりつきながら、和臣はちろ…っとこちらを見る。樹は口の中のものをごくんと飲み込むと、和臣を見つめて首を傾げた。 「朝霧さん…のこと?」 「そ。あんたを養子にしたんだろ?あの人。でもさ、そんなに歳、離れてねえよな。まだ40代?父親っていうには、ちょっと若すぎるんじゃねーの?」 樹は静かに頷いて 「うん、そうかも。最初にお話をいただいた時は、僕も驚いたから。ただ……養子っていうのはあくまでも便宜上。そうしなきゃ僕が、動けない状況だったから」 考え考え、慎重に言葉を選んで答える樹を、月城は食べるのをやめて気遣わしげに見守っている。 「出会ったのはアメリカだろ?どんなきっかけ?」 樹はちらっと月城を方を見てから 「うーん……。詳しいことは、話せない。ごめんね、和臣くん。いろいろ複雑で、話すと支障があるから」 和臣は食べ終わったチキンの骨をトレーの上に放り出すと、飲み物をひと口飲んで 「ふーん。あのさ、朝霧さんって、ひょっとして、樹さんのパトロンの1人だった?つまり、あんたを囲ってたこと、あんの?そういう相手として…」 「和臣くんっ」 月城が語調鋭く和臣の言葉を遮る。眉間に皺が寄っていた。 「君はどうしてそう軽はずみなんだ。そんな話、ここですべきことじゃないし、憶測で樹くんに聞くことじゃない」 和臣はストローをいじりながら舌打ちして 「軽はずみで悪かったな。だってさ、じゃあどこでだったら聞いていいんだよ?まさかあの病室で聞く訳にいかねえじゃん」 「そういう問題じゃない。そもそも質問の内容が、」 「待って、月城さん。僕が、答えるから」 声を荒らげる月城の言葉を、樹は穏やかに遮ると 「和臣くん。質問の答えは、NO。朝霧さんと僕は、そういう関係じゃない」 「ふーん……」 和臣は納得のいかない顔でポテトを摘みあげると 「赤の他人を養子にするってよっぽどのことだろ?だからてっきり、そっちの趣味の人かと思ったんだよね。あの人ってさ、独身?」 「うん。結婚はしていない」 「じゃあいくら人助けでもさ、普通は養子になんてしないだろ。後々、結婚して子ども出来たら、いろいろ複雑になるんじゃねーの?」 樹は少し黙って考え込んだ。 「うん……そう、だね。でもあの人の養子は、僕だけじゃないから」 樹の言葉に、和臣はちょっと目を見張って身を乗り出した。 「へえ。他にもいるんだ?」 「うん。もう1人」

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