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変なヤツ
部屋に着いたら、そのままバスルームへ直行。
(服は……このままザッと洗い流しとくか)
「面倒だし」
ヤる事を目的に脱がせるのとは、訳が違う。
湯を張っていない浴槽の中に座らせて、
泥に汚れた服の上からシャワーで温水をかける。
(こんなもんだろ……さてと ――)
服に付いていた泥汚れはザっとおちた。
だが、このままでは中身を洗えないので
―― いい加減に起きろよ。
と、うなだれるたままの彼をみるのだが………
「ったく……いい根性してるぜ、てめぇ」
呆れながらも、自分がこんなに
面倒見が良かったとは……と、
我ながら驚いた。
結局、下はいいから上だけでも ―― と
万歳をさせて着ていたシャツへ手をかけるが。
……まだガキ、とはいっても野朗だし、
たとえシャツだけとはいっても脱がせるのは
抵抗あって。
「クッ……拾った捨て犬でも洗ってる気分だな」
そう呟いて、未だ目を覚まさない
彼の頭を洗い出す。
見れば見るほど色鮮やかな白銀の髪に指を絡ませて、
シャワーで濡らしてやる。
「ふ~ん……そこそこ良い面構えしてるな……」
思わずそう呟いたところで、そいつはようやく
目を覚ました。
自分の置かれている状況がイマイチ
飲み込めていないのか?
呆けている。
(やぁっと、起きたか……)
「よぉ ―― おはよぅさん」
「……へ?……っうわぁ!! ちょっ……何だコレ?
何でびしょ濡れなのボク?! ってか人間になってる
それにココどこよ??」
(……うるせぇ)
状況を把握しようと、アタフタと騒ぎまくる少年A。
(今日は厄日かよ……)
「パッと見、外国人かとも思ったが喋ってるって事は
日本語、理解出来るな? あとは自分でシャワーして
さっさと出てこい」
彼が暴れたおかげですっかりびしょびしょの
自分も手早くシャワーを浴びて浴室を出た。
窓外を見ると、夜明けにはまだほど遠そうだが。
ったくぅ……すっかり目が冴えちまった。
今さら眠る気にもなんねぇし。
(腹も減ったし……メシ、でも作るか)
キッチンに入り、2人分の夜食の準備にかかる。
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