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第1話

Prologue  沢山の人間に囲まれながらもあなたは誰も見ていなかった。賑やかに騒ぐ周りの音さえ聞こえていないようだ。  (あるじ)であるαに肩を抱かれ、虚空に視線を彷徨わせて、誰のためでもない笑顔を見せている。  焦点を合わせることを拒むようなくすんだ緑の瞳に映るのは何もない。

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