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本性

「愛斗に…愛斗君にそう思わせてしまうくらいのことを自分がしてしまったってことはわかってる。だから俺のことは考えなくて良いから、自分のことだけ考えて。愛斗君だけでも幸せに過ごして。」 「何言ってんだよ、本当。」 「うん、ごめんね。こんなに自分勝手で…」 そう言いながら笑っている千晶さんはどこか儚げで、消えてしまいそうだった。 俺はただ、誰かが俺に家族の温もりを教えてくれるものだと思ってた。 ただ、俺は愛して欲しかった… 今更、自分の心がそう思っていることに気づいた。 でも、千晶さん相手だとどうしても素直になれなくて… そんなことも言えるはずがなくて… どうして良いか分からなくなった。 「愛斗君。この部屋の外に愛斗君の世話をしてくれる人、呼んでおくから……何かあったらその人に言ってね。」 そう言い残し、千晶さんは出て行った。 俺の顔を見ずに… この時、俺が素直になれていたなら 千晶さんを引き止めていたなら 後で後悔しなかっただろうに… 今の俺にそれを知らせてくれる者なんて当然いなくて、そのまま立ち尽くすしかなかったのだった。

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