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第3話
そんなわけで、俺はこの壇上に立っていて、いつもは気にならないこの歓声にイラついている。
別に壇上に立つ事が嫌な訳じゃない、目立つ事が嫌なんだ。
……何の為に、今まで俺の存在がバレないように性格真反対にして生活してたんだって…。
そう、このギラギラと見つめてくるこの視線。
まあ複数のギラギラしてっけど、特にあの視線。めっちゃ俺のこと探したんだろうなあ…。夜識さん。
***
中学二年生の冬、俺は夜の街をフラフラしていた。別に家庭環境が、とかグレた、そんなことない。ただ、当時の中学校の教育方針が凄まじく俺に合わなくてその鬱憤を晴らしたかっただけである。
元々、趣味で合気道をしていた父と元ヤンでなんでもありの母を持った俺は見事に喧嘩の腕を上げた。
まあ、日付が越える前には家に帰ってたし、連絡もちゃんとしてたし、受験は成功したから許してほしい。
話を戻すが、腕試しとしてかかってくる奴等を片っ端からボコボコにしていたある日、とある人物と出会った。それがチームvillain(ヴィラン)副総長の夜識(ヨシキ)さん。彼はいつも飄々としていていつも彼の周りに風が吹いている様だった。
俺は次第にチームvillainに自由に出入りするようになり、メンバーの人達とも仲良くなれたと思う。
だけど、中三のある日。俺は気づいた。きっかけは忘れちゃったけど、俺は夜識さんのことが好きなんだ、と。元々ゲイだった訳じゃないけど、恋愛対象として。気づいた瞬間俺は、逃げた。
***
そして、晴れてこの私立松ヶ丘学園高等部に外部生として入学した俺は、入学式の為講堂に向かう途中、見てしまった。
夜識さんを。
かなり喫驚した俺はクラスメイトに聞き、絶望。
曰く、この学園には問題児が集められたFクラスなるものが存在し、生徒会と対立関係にある、と。そしてそのFクラスのほとんどがチームvillainの連中が在籍し夜な夜な街へ繰り出している、らしい。
そこで俺は決意した。
入ってしまったモノは仕方がない。ならば、俺の存在はバレてはならない。
前まで明るかった髪も入学を機に黒く染めてるし、つい出てしまうこの喧嘩っ早いキャラも引っ込めてしまえば、と。まあ、俺は髪を染めても目立つ容姿をしているし、Fクラスに鉢合わせて喧嘩なんて御免である。
考えに考え、至った結果がキャラチェン。
例の、王子様キャラである。
まあ、これが意外にウケて、親衛隊まで作られてしまったのはビックリしたけど。
そしてこの一年の労力は水の泡となった。
だってもう、ロックオンされてるんだもの。
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