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第4話
「ねえ、ユキ。この後勿論付き合ってくれるよね?」
やっと見つけた。心なしかあっちは、こちらからの視線に気づいて冷や汗だらだらに見受けられる。
まあ、そうだよね?だって、一年前急にいなくなったんだから。理由はなんとなあ〜く察してるけど
あーあ。ウチの奴ら、もうお前をロックオンしてるじゃん
「アイツ本当にヒロか?」
「俺がヒロ見間違うわけないじゃん?」
「まあ、確かにな。アイツ今頃背中汗だらだらだろうな」
「それな」
さあさあ、色々ゲロってもらうよ。ヒロ?
***
ああああああ嫌だあああああああああ、この就任式が終わったらどのタイミングで来ようがアイツらは必ず俺をシめにくる。怖い、怖すぎる。
先程から背中の冷や汗がとまらん…
「副会長〜?大丈夫?次、副会長の番だけど…」
チャラい割に心優しい会計が小声で声を掛けてくれる。
「………大丈夫です、講堂寒いと思って貼るホッカイロを貼ったらあつかったんです、」
見苦しい言い訳すぎるだろ…
「……副会長が、貼るホッカイロて…」
あ、信じてくれるんだ。
『次は今期副会長から挨拶です。』
講堂中を黄色い声があがり、俺の緊張をさらに高める。なんで、そんな声があがんだよ。男子校だよ。と、この学園に入って何十回目のツッコミを心の中でする。
俺は、ゆっくりとステージの中央まで歩いていき、客席と向き合う。
少しの深呼吸と、昨日のうちに考え覚えた挨拶をもう一度軽く思い出す。
『今期副会長に就任致しました、比呂 実槻(ヒロ ミツキ)です。私は生徒会役員としても人間としても未熟ですが、副会長として生徒会や皆さんを支えていきたいと思っています』
そこで不意にFクラスの方を向いてしまい、彼と目が合ってしまった気がする。
心臓がギュッと掴まれた。絶対。
いや、いかんいかん。まだ挨拶中だ。
俺は副会長。私はみんなの王子様〜〜!!!
『皆さんがこの三年間という短い学生生活を笑顔で過ごせるよう、尽力致します。』
最後に『ご静聴ありがとうございました。』と締めくくり最後にいつもの笑顔を浮かべ、ステージから降りた。次は、会長の挨拶だ。
ヨシ、逃げよう。
会計に「お手洗いに行きます」と、伝え講堂から去る。もっとマシな言い訳をすればよかった。
最後まで戻るつもりはないから、長い便所だなあと思われてしまう。
講堂を出て、静かな校舎の中を歩きいつも自分の住処とする中庭に向かう。
この中庭は俺が一年の時から根城にしており、人が寄り付かない。不思議に思ったので俺の親衛隊長に聞いてみたら、
『実槻様がいらっしゃるので、皆様寄り付かないのですよ』と言われた。申し訳なかったので、しばらく中庭にいなかったら、俺が失踪したことになったので(なんでや)それから有り難くここを使わせてもらっている。
まあ、でも中庭は二つあるしこの中庭は狭いから良いかな。木に囲まれて寝るには最適である。
真ん中にあるベンチに寝転がり、携帯をいじっているとしばらくして眠気がきたのでそのまま俺は眠りについてしまった。
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