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第64話

瑠樹愛side 「朱夏!」 「おかえりなさい。剣聖さん。朱夏さん寝てます」 「そうか…お前…ずいぶんがっついたみたいだな」 「…ねぇ。剣聖さん…これだけ啼かせても満たされないの…何でかな…俺は…こんなに朱夏さんが好きなのに…」 「…朱夏の気持ちがないから…だな」 「あんたは何で満たされるの?」 「ずっと好きだったから…やっと…繋がれたから…だからそれが幸せ…気持ちがないのくらいわかってるよ…」 「苦しい…辛い…もう…止めたい…」 「やめていいよ、その方が俺は助かる」 「やだ…」 「なんだそれ…」 「…おかえりなさい…南…」 「「え!?」」 「南…南…」 俺に手を伸ばして朱夏さんが触れてくる 「南ぃ…だぁいすき…」 朱夏さんの目は虚ろでどこか遠くにいるみたいだ 「南…おいでぇ…」 抱きすくめられて優しいキスをされた 「っ…」 苦しい…苦しいよ…朱夏さん… 「朱夏…起きろ…寝惚けてんな」 「ん?…せんぱ…っ…あ!ごめん!久米抱き締めてた」 「…」 「久米?何で…泣いてるの?」 「…朱夏さん…朱夏さんも…俺を見てくれない…俺…帰りますね。食事は置いてあるので食べてね。じゃあ。剣聖さんあとはお願いします」 朱夏さん…あなたも俺を見てくれなかった…きっと…その南さんは…俺に似てたんだね…だから…触らせてくれたんだ…優しくしてくれたんだ… 車に乗り込む…視界が徐々に歪んで行く… このまま事故にでもあっちゃえば朱夏さん俺を見てくれるかな?… トントン そんな不穏なことを考えていたら窓が叩かれた。ゆっくり顔を上げるとそこにいたのは…

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