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第110話
「先輩。気遣ってくれてるのは凄く嬉しいよ。でもさ。俺の言葉をちゃんと聞いて?」
「いや…でも」
「でもじゃない!!俺だってビックリしてるの。こんなにすぐに気持ちが動くなんて思わなかったんだから。俺は先輩のことずっと尊敬する人として好きだって思ってた。それこそこの数日まで。でもね、南に会いに行けたから整理がついた。きっとこの好きだって気持ちは特別なんだって。ねぇ。先輩俺のこともう好きじゃないの?」
「それはない!」
「だったら!だったら!俺の…俺だけのパートナーになってよ!」
「朱夏。本当にいいのか?」
「当然でしょ」
「やっぱり違ったとか言わない?」
「言わない」
「やっぱりやめようとか言わない?」
「言わない」
「付き合ってみたら違うから別れようとか言わない?」
「…それは約束できない」
「え…」
先輩が悲しそうに俯く
「だってそれは先輩が思うかもしれないでしょ?先輩が言うかもしれないでしょ?」
これが俺の一番の不安…やっぱり違ったとか言われたら俺はきっともう立ち直れない
「それはない!」
「だったら俺を受け入れてくれませんか?貴方の事が好きです。貴方の隣にずっといたいです。貴方を愛したいんです…だめですか?」
「…ありがとう…ありがと…朱夏」
「泣かないでよ…先輩…」
「夢みたい…何年も片想いしてたんだ…こんなに幸せなことはない…朱夏…好きだ…愛してる…お前の気持ちが俺に追い付くように俺は俺なりに頑張るから…だから…抱き締めてもいいですか?」
俺から先輩に抱きつきキスをした
額同士を合わせて見つめ合う。この人のこの強い目が好き…大好き…あなたがいたから俺はこうして生きてこられた…
貴方がこの大きな心で俺を抱き締めてくれた。闇の中を彷徨う俺を引っ張りあげてくれた。
俺に光をくれた…あなたがいたから俺は…
だから…願わくば…この命尽きるまで貴方と共にいたいのです。
到底まだ貴方の気持ちには追い付いていないけれど貴方を…貴方だけを愛したいのです。貴方がくれた幸せを俺は返していきたいのです。
貴方と手を取り合い笑っていたいのです…
ねぇ…貴方と同じだけ…ううん。それよりももっと貴方を愛せるでしょうか?
その答えを…一生かけて貴方と見付けたいです
完
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