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第109話

風呂から上がると先輩はソファーで寝ちゃってた…ずっと運転してくれてたんだ…仕方ないね… 可愛い寝顔…先輩は寝てるときは幼くなるんだ。いつも綺麗にセットされた髪は更々と先輩の目にかかっている。 先輩は凄く綺麗な黒なんだ。きらきらした黒。 俺とは少し違うね。 「んん…」 触れる俺の手にすがるように頬を寄せてスリスリしている姿が猫みたい… 「可愛い…」 本当は抱いて欲しかったけど仕方ないか…流石に先輩は運べないから寝室から毛布を持ってきて掛ける。 「運転お疲れ様。ありがとう」 そっと髪を鋤いて額に口付け俺はソファーを背凭れ代わりに背を預ける もう一度一つ一つ丁寧にプレゼントを手に取っていく。 この全てに想いが詰まってるんだ…そう思うときゅっと胸が痛くて…でも暖かくて…涙がこぼれた こんなに想ってくれてた…こんなに考えてくれてた…そんなの知らなくて…居心地が良くて先輩の気持ちなんて気付かないでずっと側に居た。 このプレゼントの分だけ…いや…それよりももっともっと悩ませてたんだよね…ごめんね。 でもね…少しだけ…少しだけね優越感に浸ってしまってもいい? だって先輩を…何をさせても完璧な先輩をこんなに翻弄できるのはずっとずっと俺だけだったんでしょ? ねぇ。先輩…先輩の強い想いを信じて…俺は貴方と共に生きる道を選ぶよ。選びたいんだ それが俺にとって一番幸せなことなんじゃないかって…そう思えるから… 南に挨拶できたからかな?今はそう前向きに考えられるようになった。現金だなって思うよ…だけど… 先輩が他の人と肩を並べて幸せそうに生きていく姿を思うと苦しいんだよ…きっと…俺はずっと先輩を求めていたんだよね? 「んん…あ…ごめん…寝てた」 不意に後ろから聞こえた少し掠れた媚薬みたいな声に震える。 まだ寝起きだからか少しだけゆっくりとした話し方。そして無意識に伸ばされたであろう長い腕が俺を引き寄せた あぁ…嬉しい… 「朱夏…?どした?泣いてるの?」 流れる雫に気付いた先輩は一気に覚醒したみたい。焦る声に笑いが漏れた 「ははっ…もう!先輩…」 「え?え?」 振り返り戸惑う先輩に口付けた。少しずつ 少しずつ甘くとろけるキスに酔しれていく… そしてとても名残惜しいけれど唇を離した 「先輩。あのね。俺貴方と生きていきたいです」 「…だから…焦んなくていいって」 「やだ。焦るよ。先輩貴方がどれだけみんなに見られているかちゃんと理解してるの?他の人に捕られちゃうのはやだよ」 「いや…だから…」 「いやだ。先輩。俺の…俺だけのパートナーになって。」 「お前なぁ…何度もいってるけど俺は昔からお前だけのだよ。だからそんな焦んな。」 その優しさが今は痛いの気付いてる?

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