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第1話
────俺が憎いんだろ?
だったら遠慮なくその手で俺を殺したらいい。
ただし、その運命を踏み付けることが出来るのならな……
そう俺を見下ろしながら耳元で囁く声に身体が異常なまでに高ぶる。
熱くて、熱くて……
拒むはずの手が求めるように男の腕を掴むとフッと乾いた笑みを向けてきた。
「なんだよ、拒むの止めたのか?」
「……ち、違う……ッ……」
「身体は正直……と言うか、これが運命なんだから仕方ないだろ。それとも────」
冷たい床を擦るように、腰を突き上げながら『運命』だと口にする男が再び笑みを浮かべると異常なまでの快楽が身体中を支配する。
「……あ……んッ……もうッ……」
黒い瞳、黒い髪、そして……黒い羽根をばたつかせながら男が囁く────
「ほら、言えよ。殺したいほど憎いけど……好きだって……俺を愛してるって。そしたらイかせてやる」
「────お前のことは憎い……けど……」
俺たちは決して交わってはいけない関係。
「けど?」
だけど憎いはずのこの男を……
「……愛してる」
どうしようもないくらいに、愛してる。
そして、この想いをどこに位置付けたらいいか曖昧なまま、身体が熱くなるこの感覚に麻痺していく……
「いい子だ。俺も愛してるよ」
嘘か真か……
それとも運命か。
今はまだ、目隠しされたように何も見えないまま。
そう、何も見えない───
~ダブル・ブラインド~
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