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最終話

「お前は本当にそれでよかったのかよ」 意識を失う直前に告げられた「ずっと愛してる」と言う言葉は嘘偽りはなかったはず。 それは魂の番だからなんとなく分かる。 「それは……」 「あの黒い羽根……あれだって意味があったんだろ?」 知らない間に俺の上着のポケットに紛れ込んでいたあの黒い羽根。 意味もなく忍ばせたわけはないと思った俺はその意味を調べた。 「普通、黒い羽根は不吉だと思いがちだが、実は全く意味が違うんだよな……エンジェル……サインだっけか?」 黒い羽根を見つけた時はエンジェルサインだと思えと。 黒い羽根を持つ鴉は神の遣いをする高尚な動物だから、白い羽根よりも強力なのだと…… 「……だから、お前は俺に黒い羽根を忍ばせた」 「さすが刑事だな、その通りだ」 魂の番を消滅しても、多分柊羽は俺を一生愛し続けるのだと思った。 その黒い羽根の意味を知った時、俺はそう確信した。 あの薬で俺が柊羽を忘れたとしても…… 『ずっと傍であなたを見守っている』 黒い羽根のエンジェルサインのように柊羽は俺をずっと見守り続けるのだろうと思った。 相容れない関係のままでもずっと…… 「なぁ?」 「なんだよ」 「俺のうなじ、噛んでくれ」 「何言ってるんだよ、俺たちは……」 「相容れない関係なら、俺たちが番になって未来を変えたらいい」 変わると言う保証はない。 だけど、変わらないと言う保証もない。 ──── ─── 「噛むぞ、本当にいいんだな?」 「……早くッ……」 「分かった……ッ」 「……あッ……ん、んッ……ああッ……!!」 うなじに強烈な痛みを感じながら、身体の奥底から湧き上がる変化に必死に呼吸を繰り返していると、そのまま深く口付けられ、吐息と共に想いを告げられた。 「もしもお前が俺を忘れる日が訪れたとしても、俺はずっと千歳のことを愛し続ける」 俺たちが魂の番なのにもきっと意味があるはず。 そう思いながら柊羽の想いを受け入れながら綺麗に整えられた黒い羽根に視線を移すと、 「運命だとか俺たちが相容れない関係だとかそんなことはどうでもいい。お互いが惹かれ合い番になる。たったそれだけでも俺たちが出会ったことに価値があるはずだから……」 そう想いを返した。 そしてもう一つ、あの違和感を確かめる為に俺は再び口を開く。 「それと、この城って、お前以外に誰かいる気配が全くないのでどうしてだ?」 「言っただろ……世の中には明らかにしないままの方が良い場合もあるって」 柊羽が言う意味を理解したわけではない。 けど、俺はあのネットの備考欄に書かれていたことをふと思い出してなんとなくこいつが言いたいことを察してしまった。 『怪盗BLACKCROWと呼ばれる一族はごく少人数……または一人の可能性が高い。 備考:この一族は、人間よりも遥かに寿命が長い』 嘘か真か、それとも──── 運命とは残酷で、 だが、それ以上に尊い…… そんな言葉が浮かびまた消えていくと、俺たちは再びベッドへと沈んだ…… 全てを目隠しするかのように、 深く、深く──── END

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