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第40話 ケンの朝

 同朝、ケンはベッドに体育座りをしゴネていた。 「ショーンー!やっぱ、行こっ!アサと朝食食べたい!」 「毎日三食一緒に食べているのですから今日くらいはよされた方が」 「なーんでー。つまんないのー」 「私と一緒で良ければ、美味しい食材を――」 「そうだ!それで二人に朝食作ればいいのか!」 「あっ、ケン、そうでなくっ」 「よし!そうとなったら出発だ!」 「話を聞いてくださいっ」  この街に宿屋は二軒しかない。それに、アサとニールを昨日市場で見かけたんだ。きっと、一番近い宿屋に泊まってるはずだよね!  何故か必死なショーンに引かれて自分たちは市場から遠い宿屋を選んだ。なんで同じ部屋に泊まることになったのか、それになんで波止場でショーンにキスされたのかもよく分からない。  それにそれに!目が覚めたら抱きかかえられ、同じ枕で寝ていたことも理解不能だっ。  分からないことは深く考えない性格なんだ。まーいいや!っと頭の隅に追いやって朝食の献立を練りだすことにした。 「んー!お天気だー!」  ぐっと伸びをすると、頭がスッキリする気がする。  アサは友達で仲間で弟!  そして、僕は健康第一!がモットーだから栄養満点なご飯を作らなきゃ! 「あっ、台所って借りれるのかな」  振り返ると、寝間着を脱ぎ上半身を晒したショーンがこちらを見つめていた。  男ばかりの船で、何年も一緒に生活してきた人だ。この人の裸は何度だって見たことがある。  でも何でだろう。鍛えられた身体が見えた瞬間、心臓がドキッとし、頬が火照った気がした。それだけじゃない、なんだかバクバク言ってる気がする。  疲れてるのかな。鉄分か、そうだ鉄分が足りないのかも!  ほうれん草が買い物リストに加わった。

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